K's Report!
このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。
TP-2を2倍楽しむ!街に繰り出そう!(前編)
2倍楽しむとは???
前回までは星の撮影に対する適性を模索してきた。そして、それなりの結果は得られたと思う。だけどね、TOAST TECHNOLOGYのスタッフさんによると、
「それは当たり前。前々から言われてることは、山へ出かけなくても、曇っていても、このTP-2は使えるでしょ?」
ということ。その先の新たな使用方法を探ってみよ、というのがオレの新たなミッションってわけだね。
HPでもTP-2を「赤道儀」という言葉と共に「モーションタイムラプスマウント」という言葉で紹介しているし、今年の2月にパシフィコ横浜で開催されたCP+2014でも「マルチファンクショナルターンテーブル」という名称を前面に推し出している。星の撮影以外にも使ってもらえるように、敢えてそのようにしているものと感じるね。
星を中心に据えた撮影となると、幾つかのハードルが立ちはだかる。
まず、光害の少ない土地に出向く必要があるから、多くの人は、自ずと何らかの方法によって、街から遠く離れた土地へ移動しなきゃならない。これが1つ目のハードル。さらに、当然、晴れないとダメ。これが2つ目のハードル。
この2つの大きなハードルがあって、しかも同時に克服しないと、星の撮影は出来ない。
こういう条件下では、せっかくの赤道儀も出番が減ってしまう。現在、赤道儀をお持ちの方は 、過去一年間で、どのくらいの稼働時間があったのか、思い出してみるといいかもね。案外、少ないと思う…。
これでは、もったいないな~。
で、そのような条件下以外でも使用出来ないか?という試みをしたいのね。ハードルを取っ払っちゃって、2倍、いやそれ以上のコストパフォーマンスを得るためにね。
前置きは、こんなトコ。実際にやってみましょ!
・・・とは言ったものの、なにしろ全てが初めての経験。どのような撮影地、構図とかで撮ったら良いのか皆目見当が付かない。でもそこは現場主義のオレ。やらなくては何も始まらないのを知っている。場所だけ見当を付けて、後は流れでやってみることにした。
いざ、現場にて
《 撮影現場その1 東京駅 》
東京駅を見下ろす、とあるビルの屋上。ネットでもそこから撮られた画像が結構ある。
手始めには良い場所と判断。ビルの駐車場から屋上へ、TP-2の入ったカメラバッグに三脚ケースを抱え、到着。あらかじめ警備員さんに、三脚の使用、ちょっとした場所の占有の許可をもらった。この前段階のお願いはちゃんとしておかないとね。
撮影態勢への移行は、TP-2の特徴につき、いつも通り素早い。特に威力を発揮するのが、レベル調整に便利な「Dish-2」。正直言って、水平出しにはこれが無いとかなり時間を取られてしまう。精密に合わせられるしね。
で、実際の撮影。
現場に到着したのがかなり遅かったこともあって、この場所の開放終了時刻までわずか55分の撮影時間。かなり短い…。その間に、どこからどこまでの範囲を写そうか?この条件から、TP-2の回転速度を逆算する。
今回は水平角90度の回転が最も適すると判断。残り時間は1時間弱ということで、回転速度を90度/hにセット。露出時間とインターバルタイムは、滑らかな動画にしたかったので、なるべく短い設定を選択。露出1秒、インターバル1秒とした。そこから適正露出にするために数枚試写して絞り値を決定。あとはタイマーリモートコントローラーのスイッチを押してスタート!出来上がり?を待つ。
待っている間は、雨の心配と機材が周りの迷惑にならないかを見張っているだけ。温かい缶コーヒーを飲み、たこ焼きを食した。
で、出来上がったものがコチラ~。
《 撮影現場その2 アークガーデン 》
ちょうど桜が満開の季節だったので、良さげな場所を選択。六本木アークガーデンというトコロが目に留まった。ので、早速移動。
到着してみると、なかなか適当な場所、構図を得られる場所が無い…。
ウロウロした挙句、ようやく撮影場所を決めたはいいが、またまた開放終了時刻までわずか30分!そそくさと撮影態勢を整え、東京駅と同様の過程を経て撮影開始。
今回は120度の範囲が欲しかったのと、20分の残り時間から、TP-2の速度設定を360度/h、露出1秒、インターバル1秒とした。
完成した動画では、やはりちょっとカクカクした感じが出ちゃったかな?桜の描写もイマイチ…。でも、ま、今回はコレでヨシとしよう(笑)
まぁ、初めてにしてはなかなか上手くいったかもな、と密かにほくそ笑んでみたり。
こうして街の中に繰り出して実際のモーションタイムラプスムービー撮影を経験してみると、チャンスはどこにでも転がっているということを強く感じた。
特にTP-2は、1時間にわずか7.5度という超低速から360度/hまで幅広い駆動モードを選択できるから、今回みたいに撮影可能時間が残り何分でどこからどこまで動かしたい!みたいな条件が決まってしまってたりするときは、簡単な算数で最適な撮影モードを弾き出すことができるのはとても便利だと感じた。
もうしばらくすると、天文ファンにとっては憂鬱な梅雨の時期に入るけど、その間もTP-2はいつもカメラバッグにスタンバイしておかないとね。出番は365日いつでも、どこでも、だからさ。