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K's Report!

このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。

TOAST Pro編 その41

パンスターズ彗星ふたたび

近日点通過後間もないパンスターズ彗星を捉えてから、一ヶ月が過ぎた。その間にも夕空での撮影の機会を狙っていたんだけど、天候とか条件とかで、撮影は断念せざるを得なかった。

そうこうしているうちに、明け方の東の空にも姿を見せるようになってきた。日本の春の空は、毎年眠い。それでも、夕方よりも明け方の空の方が、空気中のチリや水蒸気が落ち着く(?)からか、やや条件で上回る。

で、ようやくそのチャンスが訪れた。 翌日は午後出の仕事。ならば朝の撮影も可能というもの。天気も何とか保ちそうだ。

仕事が終わり、仮眠をとった後、そそくさと撮影の準備をし、東の空が開けているであろう撮影地を目指す。モバイル赤道儀TOAST Proで組んだコンパクトなシステムは、いざ!という時にもスピーディーかつ安心して撮影準備が整う。これは何物にも代え難い。高速道路を西へ飛ばして、北八ヶ岳のとある場所にて撮影をすることにした。まったくストレスフリーである。

今回は、だいぶ小さくなってしまった、との情報からボーグの直焦をメインに据えることにした。撮影後は、すぐ帰らないといけないので、あんまり多くのことを詰め過ぎると色々と支障が出てきそうなんでね。

到着したのはいいんだけど、やはり空は白い。ここの場所の条件はわかっているつもりなので、最善の状態と比べるとずいぶん落ちる。仕事もあるし、ここは明け方の彗星の撮影一本に絞り、とっとと車中で寝ることにした。

目覚ましに起こされたのが午前2時。空は晴れている、が白い。天の川のなんと貧弱なことか…。まぁ嘆いていても空は良くならない。最善を尽くすのみ。

ものの30分でセッティングは終了。「Dish-2」があったらもっと早かっただろうけど、今回は手元に無かった…。また貸してもらおう。あれすっごく便利だもん。

3時になった。そろそろご対面の時間。昇ってくるであろう方向に双眼鏡を向け、丹念に探す。直前の情報によると、核光度は4~5等級。しかしチリの尾が拡がり、特異な姿を見せているそうだ。

30分ほど捜索し、カラマツの梢の先っぽに発見!キラキラと輝く核は身を潜めたものの、チリの尾が拡がっているのが双眼鏡でも分かる。こりゃオモシロい写真が撮れそうだ。

早速、撮影に入る。

リミットは午前4時15分、日の出一時間前までだ。30分強の時間しかない。しかしここで、薄雲が湧いてきた…。薄明直前の雲は、先行して太陽の光を受けてしまうので痛い…。それでもめげずに撮影開始。プレビュー画面で確認しつつ最適露出時間を探ってゆく。うーん…、尾がカブリに埋没してるなぁ。
そうこうしているうちに、リミット時刻。これ以上撮影を続けても、SN比の劣る画像しか得られない。

撮影終了後、そそくさと撤収開始。何回も言うけど、アルカスイス規格アタッチメントで組み上げる機材の撤収はラク。確実でもある。

で、得られた写真がこんな感じになりました。

50mm で撮影したパンスターズ彗星

50mmのレンズで撮ったヤツ(上)と、ボーグの直焦(下)が1枚ね。

尾が予想以上に思いがけない方向に拡がっているので、これから撮影する人は注意ね。薄雲のおかげで、不満な写りだけど…。もうちょっと、短めの望遠レンズの方がオモシロかったかもね。

50mmでこれだけ写っているのだから、「しょぼい」というのはかわいそう。

やや不完全燃焼だったけど、もう一回撮影しよう!と思った次第です。

※この記事は2013年4月に掲載されたものです。TOAST Proは、現行モデル「TP-2」に継承されました

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