K's Report!
このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。
2012年オーストラリア・ケアンズ皆既日食の旅
Part6・現地ロケハン編
No Star, No Life
撮影地をココに決定したのが、午後3時半。自宅を出て、ちょうど24時間後のこと。実にバタバタして、実に充実した時を過ごしてきたもんだ。
しばし、同行の3人、お互いの奮闘をねぎらいつつ、まったりとした時間を過ごす。
海岸地方と明らかに植生が違い、異なる乾燥した気候であることは判るのだが、今日に限ってか、湿度は高め。
ただ、やや標高があるお陰で空気は澄んでいる感じ。車での移動中は強い日射を感じたが、日が傾くに連れそれは心地良いものとなってゆく。
そよ風とともに、やや興奮した脳みそをクールダウンしてくれる。
さて、しばしオーストラリアの風を体感した後、夜の撮影の準備に取り掛かる。
「モバイル赤道儀TOAST Pro」を主体としたシステムなので、刻々と迫り来る薄明の中でも焦らずに、確実に、組み上げることが出来た。この安心感は何ものにも替え難い。
空は快晴。美しい夕焼けに歓声を上げながら、あとは闇夜を待つのみだ。
夕焼けが終わりつつある頃、一番星が見えてきた。エリダヌス座のα星、アケルナルだ。南半球での撮影は久しぶりなので、思わず「お久しぶり~」などとつぶやく。
続いて、天頂付近(!)にフォーマルハウト、西の低空に火星を見つける。
やがて薄明は終わりを告げ、闇夜が訪れた。
ケアンズ、マリーバの明かりはやや気になるが、日本と比べれば小さい小さい。 西の空から北にかけ、地平線に沿うように天の川が横たわる。アタマでは判っているつもりだが、やはり違和感を覚える。
南の空には、ぽっかりと浮かぶように大マゼラン星雲、小マゼラン星雲が並ぶ。日本の常識、北半球の常識から言えば、それらはやはり「雲」のよう。大きい!大きさに釣られ、思わず双眼鏡で覗く。
大マゼランは大き過ぎて、視野からはみ出る。しかし、タランチュラ星雲などもはっきり確認出来る。小マゼランに目を移すと、傍らに星とは違う光芒。南半球の空で1、2を争う大球状星団、NGC104だ。今回は眼視観測用のアイピースは持って来てない。やはり、持って来た方が良かったかな?と思った瞬間。
ぼけーっと空を仰いでばかりもいられない。大事な仕事をしなければ。そう、極軸合わせである。もちろんTOAST Proの極軸望遠鏡は南天にも対応してるから大丈夫。
過去数回、南天での経験はあるものの、久し振りだからなぁ。うまく合わせられるだろうか?星図を頼りに取り掛かる。星図と実際の空を交互に眺め、指標となるべき星の並びを把握、間もなく極軸の位置が判明した。
一度把握してしまえば、後は簡単。同行の2人にもそれを伝え、セッティング作業へと移行。
明朝の皆既日食にも関係することなので、ここは精密に合わせる必要がある。しかしながら、直焦用のTOAST Proには、TOAST専用微動架台の「Dish-35」(※)をあてがっているので、ちょちょいのちょいでセッティング完了。
もう一方のTOAST Proは、大型の自由雲台で極軸調整をまかなっているので、やや手間取るがこちらも数分で完了。実に簡単で高精度なセッティングが出来た。
再び空へ目を転じると、南天の星々が「撮って下さーい」と微笑んでいる。オーケー!待っててね~。
※スタッフ注:Dish-35は販売を終了しました(タイムラプスアダプターDish-25とは異なる製品です)