K's Report!
このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。
速報!パンスターズ彗星
近日点に近づくに連れ、増光にカゲリが見えてきたというパンスターズ彗星。それでもなお、3等級の明るさを保つそう。立派な彗星であろう。南半球で捉えられている写真には、その片鱗がうかがえる。ならば、わざわざ出掛ける価値はあるというもの。
それに近日点を過ぎた彗星は、ときに「化ける」こともある。以前のマクノート彗星なんて、近日点通過後10日ほどで「化けて」、歴史に残る大彗星となったもんね。
さて、不帰の彗星、パンスターズはいかなる末路となるのか?この目で確かめに行こう!
てなわけで、3月12日、その機会は訪れた。平日だが休みが取れた。天候もどうやら安定しそう。
まだまだ太陽に近く、日没後の高度は微々たるもの。今まで訪れたことのある撮影地を吟味。西に大きく開け、低空まで見渡せる場所を選んだ。
そこの場所は、山梨県鳴沢村三湖台。近傍の有名な紅葉台から、山道ではあるが、歩くこと10分でそれは素晴らしい眺望が開ける。愛用のTOAST Proならば、撮影機材をひっくるめても移動は苦にならない。
日没1時間前の16時半に紅葉台駐車場に到着。すでにまとめてある機材一式を担ぎ、いざ山道を登る。
右手に富士山、左手に樹海と本栖湖。胸のすくような眺め。間もなく、ほぼ360度見渡せる尾根に出た。三湖台だ。
西の低空には残雪の南アルプスが連なる。しかし高度にして2~3度だろう。彗星の撮影には、なんの支障もない。空は、春特有の霞と黄砂?かな?冬に比べやや濁っているものの、まぁ及第点である。
早速、荷を解き、セッティングに取り掛かる。いつも通り、アルカスイス規格の脱着方法で素早く、確実に完了。あとは、時が来るまで、はやる気持ちを抑え、整える。準備はOKだ。
日没間際より雲が発生。よりによって西だ…。むー…。お陰で夕焼けはとても綺麗…。彗星が見え出すころには無くなることを祈りつつ過ごす。
日没後30分。そろそろ見えてもいいはずだ。双眼鏡で目を凝らす。
見えない…。
いや、見つけられないのか?存在しているであろう天空には、確かに雲がたなびいている。これの向こうか?
さらに15分、冷たい北風に手がかじかむのをこらえながら探す。
そして18時30分、雲の切れ間にきらりと輝く、かわいい?姿のパンスターズ彗星を見い出す!
小さいなぁ、広角レンズ要らなかったなぁ、などと思いつつ、しかし見えて良かった~が本音。
撮影開始!
モニターを見ながら適正な露出時間を探る。間もなく本番の撮影に突入。どんどん高度が下がっていくので、そこは臨機応変にね。
で、結局撮れた写真を見ると、高度がある時の方が「らしい姿で」写っていた。この辺は、そのときどきの条件で変わってくるだろうね。
得られた写真を見ていただきます。
撮影終了とともに下山。素早い撤収が可能なシステムの、身体に対する負担は少ない。午後9時には自宅到着。軽い興奮とともに、このコラムを書いているわけです。