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K's Report!

このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。

TOAST Pro編 その43

Dish-2星空撮影準備編

さぁ、やってきましたその時が!
折りしもパンスターズ彗星が近日点を過ぎ、もしかすると長い尾をたなびかせるのではないか?という絶好のタイミングで!

パンスターズ彗星撮影記は、前のコラムを参照して頂くとして、今回のテーマは、TOAST ProのNewオプション、「極軸合わせ専用微動架台“Dish-2”」を用いて、どのような使い心地で北極星を導入できるか?だね。

まずは運搬の時の話かな。

わずか300g弱の重量のおかげで「重さが増える」ということは、全く感じない。また、余計な出っ張りなどもほとんど無いので、他の機材の収納などに影響を与えるなどということもない。これ、実践派の人たちにスゴく大切。いくつもねじが飛び出てる装置、なんてのはメーカーの都合で、ユーザーを考えていないと思う。ちゃんと「使う」ことまで想定してこそ「良い」機材と言えるのではないかな。

直径は8cmほどなので、今使っている三脚を閉じた状態の直径とほぼ同じ。運搬に際しては、三脚に取り付けた状態でのパッキングが可能であった。
この収まりの良さから思うに、おそらくこれからは、三脚から取り外すことなく使っていけそう。
要するに、有用で便利な機材がひとつ増えたのに、運搬に際しては今までと同様な感覚でいられる。運搬においては物理的な心配はしなくていいってことね。

さて撮影地に到着後、直ちにセッティング作業に入る。

「Dish-2」は、すでに三脚に取り付けてあるので、セッティングというほどのことじゃないな。TOAST Proにも事前に円形プレートを装着してきてあるので、現場では単純に上からはめ込むだけ。ねじ込むとかの作業も無い。ラク~(笑)。

「Dish-2」を取り付けて、あらためて撮影システム全体を眺める。かっこえ~!実にスマート。「Dish-2」のメカニカルな感じはTOAST Proにもマッチしている。屋外で見るとその感は一層強まる。

いよいよ、初の「Dish-2」フイールドテストに入る。

まずは、従来通り本体のポーラーアライメントホールを覗き、北極星が中心付近に来るように三脚を調整する。次にTOAST Pro専用のポーラファインダーを覗いてみる。当たり前だけど、すでに北極星は視野の中心付近に来ている。たとえ中心付近に来ていなくとも、±5度以上の可動範囲を持っているので調整は可能。実際に、わざと周辺付近に北極星を置き、「Dish-2」で中心付近まで導いてみたが、全く問題無かった。

さぁ、ここからだ。暗視野照明装置(LED照明)によって浮かび上がった指標パターンと、実際の星空を同時に見る。ポーラファインダーの固定ネジをゆるめてから、片方の眼でパターンに描かれたイラストを、もう片方の眼で実際の夜空に光るカシオペアか北斗七星を見ながら、その両方が同じ傾きの位置関係になるようポーラファインダーを回転させて、回転角度をおおまかに合わせるのね。

で、いよいよ「Dish-2」を使うわけだが・・・

“あっけない”というか“簡単”という言葉しか、ない。
事前テストでもわかっていたことだけど、ノブの回転と「Dish-2」の動きが、とてもリニアに連動するので扱い易い。

そしてここからが「Dish-2」の本領が発揮されるトコロ。
精度を上げるためには、パターンに描かれている近傍の2つの星(δ-UMiと51-Cep)の位置合わせも重要。ここは多少根気のいる仕事。微動装置が無かった時点では結構苦労しました…。さて「Dish-2」を用いた状態ではどうか?

おおまかな状態でまず北極星をパターンに合わせて、残り2つの星がそれぞれ指定の位置に来ていれば、それでOK。大抵はちょこっとズレている。そこで、ポーラファインダー本体を回転させる。また北極星を入れる、ズレてる、回転させる、北極星を入れる、ズレてる、回転させる…の繰り返し。数回これを繰り返せば、必ず3つの星がパターン上の収まるべきトコロに収まる。

「Dish-2」の無かったこれまでは、ココの作業が面倒だったのね。ほんのわずかに「TOAST Pro」を動かせるようになったおかげで、極軸合わせの労力が大きく減ることになった!

で、ものの数分も掛からずに、天の北極を捉えることに成功。ここで「固定」をするわけだが、ここも大切。せっかく、正確に導くことが出来たんだから、固定作業でズレてしまっては元も子もない。事前のテストでは大丈夫だったが…、やっぱり大丈夫でした!テストの時と同様、最後にキュッと力を加えて締め上げるトコロで、ちょびっと移動はするものの、手を離すと元の位置に戻る。固定した状態でシステム全体を触ってみても、この「Dish-2」に起因するブレなどはありませんでした!これにて無事に極軸合わせは終了の運びとなりました。

運搬から始まって、微調整、固定まで、大きな問題となる点は見受けられなかった。今回はテスターとして、ちょっとは開発にも携わったことで感慨もひとしお。

この日は直ちに帰途に着かなければならなかったので、操作性をみて終了。
次回は、セッティング後の撮影までを含めたレポートをしたいと思います。

※この記事は2013年4月に掲載されたものです。TOAST Proは、現行モデル「TP-2」に継承されました

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