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K's Report!

このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。

TOAST Pro編 その47

遠ざかるパンスターズ彗星

3月上旬から北半球の空を賑わせてきたパンスターズ彗星。当初の、巨大彗星来たる!との予想に反して、ややおとなしい印象となってしまった。とは言っても、核光度最大2等級、尾の長さも最大数度に達したパンスターズ彗星は、やはり大きな彗星の部類に入るだろう。

さらに言わせてもらうと、フォトジェニックな彗星でもあったよなぁ。
近日点通過後、夕焼けに負けない、短いが明るい尾をたなびかせた西の低空での雄姿。
その数日後、月齢の小さい月との2ショット。予想より暗いのがたまにキズだったなぁ。
その後は月明かりとの関係で、ずいぶんヤキモキした。海外では、特徴のある尾っぽが捉えられていたし。
4月に入って、明け方の北東天にその姿を見せるようになってきた時は、そのかなり特異なカタチにワクワクしたね。そしてアンドロメダ大星雲との接近。明け方の薄明との戦いでした。敗れましたが…。

通常では、太陽から遠ざかるにつれて面白みが無くなる彗星の例は多いんだけど、段々と興味深くなっていったのは、この彗星の特徴のひとつだね。
そして、周極星となってカシオペア座に突入。天の川に入ると次々と様々な天体に近づいた。NGC281との接近、NGC7789との接近などなど。ケフェウス座に入ると、大きな散光星雲Ced214との接近。この時期が最もフォトジェニックだったかな。高度も大きくなり、露出が充分にかけられるようになったしね。ネット上でも、みんなの撮った美しい写真、堪能しましたねぇ。
モバイル赤道儀TOAST Proを使っている身としては、そろそろ、撮影は終わりかな。この先の撮影は望遠鏡が求められそうだもんね。ここ過去2ヶ月は、機動性の高いTOAST Proならではの撮影が展開できたと思う。機動性・速写性が何よりの武器。よく働いてくれました。

働き詰めだったゴールデンウィークを終えた直後、個人的に最後であろうパンスターズ彗星を捉えたショットを紹介しますね。

今回は、ちょっと離れてしまったCed214との2ショットを中望遠で、だいぶ光度の落ちたパンスターズ彗星本体を「BORG 125ED F2.8」で狙いました。

(※スタッフ注:サイトのレスポンシブ対応のため、天体写真が実際よりも鮮明さに欠けて表示される場合があります!)

中望遠は普通通りにモバイル赤道儀TOAST Proに搭載。ただ、ジンバルフォークユニットだと北天の死角に入ってしまいそうだったので、今回は自由雲台での接続で対応。

BORG125EDで撮ったパンスターズ彗星

BORGの方は、本体重量が4kg!と重いのと、やはり北天には向かないだろうとのことで、RRS(Really Right Stuff)の自由雲台にて接続。

はっきり言ってこの組み合わせはメーカー的にはNGだろう(笑)。完全に性能保証外の使い方。でも、やってしまった。思いっきり三脚を広げて、重心を低くした。

確かに撮影現場では扱いに苦労しました。 ポーラファインダーを覗くのが大変。だけど、極軸合わせ専用微動架台「Dish-2」のおかげで、調整自体は全く問題ナシ。

それと、重い鏡筒に自由雲台だと、片手でホールドしなければならない場面に際し、極度の緊張を強いられる。あらためてジンバルフォークユニットのありがたさを実感。
大きくバランスを崩した状態でしたが、そこは短時間露出+多数枚撮影で対応したおかげで、それなりのデータを得ることができました。

ついでに、明け方の薄明の中に現れてきたレモン彗星も。

レモン彗星

こちらは、前述の撮影の日から約1週間後の姿です。言い訳ですが、空の条件はかなりきつかったです…。

こちらも遠ざかりつつある彗星ですが、まだまだ立派な尾が見えているようですので、段々と高度が上がるにつれて、良い撮影対象となってくれるよう、期待したいねぇ。
更には、今冬には超巨大彗星になるとの予報が出ているアイソン彗星!これも今回のフィーバー以上に盛り上がってもらいたいものです!

※この記事は2013年5月に掲載されたものです。TOAST Proは、現行モデル「TP-2」に継承されました

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