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K's Report!

このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。

TOAST Pro編 その35

2012年オーストラリア・ケアンズ皆既日食の旅
Part7・眠れぬ前日編

Night Storm… 

極軸のセッティングを行なっている頃から、東の空から雲が湧き上がってくるようになっていた。日本とは違い、夜空の真っ黒いトコロが、雲があるトコロ。雲の下に光源が無いので、雲は白く光らない。例えば、雲が全天を覆うと、それこそ漆黒の闇が訪れる。
何だか再び、イヤな予感がする…。直焦での撮影は天候のリスクが伴いそうなので諦める。望遠レンズ並列システムのみで、イケるところまでイってみよう。

撮影の開始からわずか1時間後、ちぎれ雲が往来するようになり、しばしば撮影の中断を余儀なくされる。2時間後、全天の8割以上が雲に覆われ、撮影は様子見に入る。大小のマゼランを数コマしか撮っていないのに…。

急に湿っぽい風が吹いて来たな、と感じてすぐ、ポツポツときた。ヤバイ!間もなく強風を伴った大粒の雨に変わる…。麗しの南天の空の下、空しく撤収の号令が響き渡った。

しかしながら、昼間の撮影地探しの道中でも、何回かスコールに見舞われた。30分もすれば、再び満天の空が望めるだろう、昼間と同じように…。と思い、TOAST Proシステムは組み立てたまんま、ミニバンの荷室に並べるように避難。軽量・コンパクト・シンプルな構成につき、こんなことが出来る。

一安心したところで、降り止むまで30分の仮眠~。

皆既日食は快晴。最高の条件の下、迎えられた。

さぁ!始まったぞ!歓喜の瞬間。
1分が過ぎ、2分が過ぎ、3分が過ぎ…、
あれ?もう10分も続いている…。

夢の世界から引きずり戻されたのは、さっきにも増して激しい雨がボンネットを叩いていたから。時間的には1時間が経過していた。

妙な夢を見た。
神のお告げだろうか?どんな意味があるのか?などと思っているヒマは無い。これからどうするか?だ。

時刻は午前1時を少し回ったところ。雨は降り止む気配が無いどころか、時折、車を揺らすような突風を伴う。日食は午前6時30分、残り5時間半。しかし正確な極軸のセッティングは薄明前に到着していないと不可能。薄明開始は午前4時。残りたったの3時間だ。

ここで3者会談。時間的に、夜の部は早々に諦めることに決定。残念だが仕方ない。

次に日食に備えて移動するか?この場に留まるか?お互いの顔色を伺う。もう答えは出ていた。移動あるのみ!はなっからスリリングな旅行を決め込んだのだから、今さら受身にはならない。今、出来ることを実行するのみだ!

そうと決まればぐずぐずしていられない。エンジンをふかす。避難させたTOAST Pro達は、そのまま荷室に立てたままで移動。一応、S君が転倒防止要員として、傍らに控える。ミニバンを借りておいて良かった、とあらためて思う。

移動場所の目星はついている。昼間にさんざん探し回った候補地を順に回ればいい。どこかイイ場所があるはずだ。

1ヶ所目、だめ。下がぬかるみになっていた。

2ヶ所目、霧の中…。

3ヶ所目、小雨が降り止まぬ…。

晴れていて、明るい見通しがあれば気にならない疲労が、逆境の今、重くのしかかってきた。まぶたも持ち上げるのが面倒になってきた。そんな中、4ヶ所目。

移動を始めて3時間経過。時間的にリミットである。この場所で決まらなければ…それは考えるのをやめた。車から降りて見極める。

よし!なかなかの場所だ。そして、ようやく久し振りの晴れ間が拝めた。辺りのロケーションもまぁまぁ。マリーバから、そう遠く離れていないので、夜の撮影は不適格として除外した場所であったが、日食撮影には影響ない。

薄明が始まろうとしている。睡魔と疲労感をすっ飛ばす。急がねば!

※この記事は2012年12月に掲載されたものです。TOAST Proは、現行モデル「TP-2」に継承されました

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