【ユーザーQuestion】Dish-2を逆さまに装着してドリフト法をスムーズに実現するには?

50年に一度の巨大台風と連日報道されていた台風8号が熱帯低気圧に変わったようで安心しました。皆さんの街では被害など大丈夫でしたでしょうか?心配です。

今日の東京は、台風一過で久しぶり青空が広がっています。でも、気温と湿度が高くて、外を歩くにはちょっとつらい一日です。

さて、久しぶりの【ユーザーQuestion】です。先日に引き続き、井上さんから投稿いただきましたので早速ご紹介しましょう!

 

***** 以下、井上様より *****

井上 普丘です。

星野撮影用のサブシステムをより軽量化するため、先日、Dish-2 を注文致しました。明日着とのことで、楽しみにしています。
望遠(焦点距離200~300mm以上)レンズでの撮影においては、淡いガス雲の階調を可能な限り詳細に記録するため、少しでもISOを下げて撮りたくなります。

そうなると露出時間が5分、10分と長くなり、赤緯方向のガイドズレが顕著に表れるようになります。

そこで極軸設定を追い込むために、デジカメを用いたドリフト法を多用しています。
(参考:http://blogs.yahoo.co.jp/qff01360/24855084.html)

ドリフト法を行うには方位・高度方向に赤経体を微動させる必要がありますが、Dish-2 の機構では難しいと思います。

これを実現すべく、Dish-2 を以下のように変えたものはできないものでしょうか?

 

≪改造内容≫
・Dish-2 下部リングに、水準器を設ける
・Dish-2 – TP2 間の円形プレートと同様なものを、Dish-2 – 三脚間にも設ける

≪使い方≫
1. 3本の調整ねじのうち、1本をおおよそ北の方角に向けて、三脚を設置する
2. Dish-2 下部リングの水準器を見ながら三脚の水平出しを行う
3. Dish-2 – 三脚間の円形リング固定を緩め、南中している星を使って改良ドリ
フト法で極軸の方位設定を調整する。(粗動での調整となるが、それでも極望を使った調整よりは精度を出せると思う)
4. Dish-2 – 三脚間の円形リングを固定する
5. 西または東に望遠レンズを向け、写野内の星を使って改良ドリフト法で極軸の高度設定を調整する。
このとき、北側に向けた1本の調整ネジだけを使う。他の2本は動かさない

いかがでしょうか?

 

***** TOASTスタッフより *****

井上さん、お返事が遅くなって申し訳ありません。

一軸式の赤道儀で極軸の精度を上げるためには、仰るとおりポーラファインダーで調整後に、実際に撮影してその差異を補正していくドリフト法は有効な方法です。

その分、多少の手間と時間はかかりますが、確実に極軸設定を追い込むことが可能なので、実践しているユーザーも多いかも知れませんね。

 

ドリフト法の具体的な方法などについては、ネットなどで詳しく検索していただくとして、ここではDish-2について。

TOASTシリーズの極軸合わせでは、もともと三脚架台が水平状態でなくとも極軸を合わせることが可能なレチクルをポーラファインダーに搭載しています。そのため、水準器が未実装ですが、こんな風に市販のバブル式水準器を簡易的に装着するのも解決策の一つかも知れません。

Dish-2 水準器

 
ところで、Dish-2の三脚接続側も円形プレートにするアイディアは、実は試作段階でずいぶん検討されました。

最終的には、固定ネジの関係で使用できる三脚が制限される可能性があることから採用には至りませんでしたが、現状でもパンベースクランプユニットを組み合わせることで、井上さんのご要望に近づけることができます。

早速その手順をご紹介していきましょう!

Dish-2まずは、固定ネジを抜き取ったDish-2の円形プレートを逆さまにして、三脚に直接ねじ込んで固定してしまいます。

Dish-2そこに、上下さかさまにしたDish-2を被せます。

Dish-2

円形プレートの固定ネジで、Dish-2としっかり一体化させます。

Dish-2

次に、TOAST Online Shopで発売している「Dish-2用ネジ径変換アダプター」をDish-2に装着します。


Dish-2この時、ネジ径変換アダプターがDish-2の上面から飛び出さないよう注意して下さい。

 

 

 

Dish-2

TOAST Online Shopで人気のオプション「パンベースクランプユニット」を長めのU1/4ネジでDish-2にしっかりと固定します。

 

Dish-2

パンベースクランプユニットのクランプがDish-2の外形の外まで飛び出ていますので、この状態でアルカスイス規格のプレートを装着できるというわけです。

 

Dish-2

画像では、GITZOの三脚を改造してセンターポールを外すためのガジェット(Markins製)が付いていますので、ちょっと高さがあるように見えますが、基本的には、通常のシステムでDish-2を上下逆さまにしただけの状態です。

 

TP-2

こうすることで、Dish-2の3本の脚の一本を任意の方向で固定できます。

Dish-2を上下逆さまにに装着してしまうという逆転の発想ですが、実はTOASTスタッフも日常的に利用しています。用途は井上さんと全く異なり、Dish-2を付けたままだと三脚のキャリングケースにはいらないので、円形プレートだけ付けておくというもの。あらかじめ三脚の上部に円形プレートが装着されているので、Dish-2をねじ込む手間が不要でワンタッチで組み立てられるという、まさに横着なTOASTスタッフならではの使い方ですが・・・。

本来の製品の使い方とは違うので、多少問題がありますが、円形プレートのネジをU3/8にしているのは、実は開発途中で下側にも円形プレートを実装するという発想の名残かも???

井上さん、とりあえず、こんな方法はいかがでしょうか?

 

と、TOAST-Blogを書いている間に、雲行きが怪しくなってきました。

梅雨明けにはもう少し時間がかかりそうですが、月末の新月期には、いよいよ夏の星空撮影本番がスタートしますよ!