「超望遠レンズでのクランプフリー・システム!」パンベース・クランプユニットの巻

 

 

先月発売のモバイル赤道儀TOAST Pro用オプション「パンベース・クランプユニット」が大人気です!

そんなか、あるユーザーからこんなご質問をいただきました。

現在、ジンバルフォークユニットとパンベース・クランプユニットを使用しています。ジンバルフォーク雲台をパンベース・クランプユニットで使用するのは可能でしょうか? 重量的に負荷がかかりすぎるとか、好ましくないのであれば、使用の都度付けかえたほうがいいでしょうか?

 

おっしゃるとおり、確かにパンベースプランプユニットでジンバルフォーク雲台が使えれば、とても便利ですよね。

そんな訳で、今日はこのご質問にTTスタッフがお答え致します。

 

 

 

 

アルカスイス規格のプレートを介してTOAST Proに雲台を固定する、という機能に関しては、どちらのオプションも変わりありません。

しかし、パンベース・クランプは、小型・軽量の本体に回転機能を持たせた構造のため、極端な過重、もしくは偏荷重状態の機材搭載時には、回転操作が重くなりクランプへの負担も大きくなります。

一方、ジンバルフォークユニットに付属するクランプがレバー式なのは、ワンタッチ脱着というメリットはもちろん、剛性と固定力に優れているためです。

したがって、BORGをはじめ超望遠レンズなど重量級の機材を搭載する場合には、ジンバルフォークユニット付属のレバークランプで運用していただく、というのがひとつの答えです。

 

 

一方で、パンベース・クランプユニットに付け替えると、大きなメリットがあるのも事実です。

実は、ジンバルフォーク雲台に搭載した機材の東西方向のバランスを完全に調整することができるようになります。つまり、クランプフリーでの操作が可能になるのです。

 

但し、クランプフリーを実現するには、回転方向の操作をパンベース・クランプユニット側で行うようにする必要があります。

つまり、ジンバルフォーク雲台の下側のクランプは一切操作せず、固定したままの状態にすることが条件です。この時、誤ってジンバルフォーク雲台側のクランプを緩めてしまうと、バランスが一気に崩れて危険です。

 

さらに、ジンバルフォーク雲台の根元に装着するアルカスイス規格のプレートを少し長いものに変えて、なおかつパンベース・クランプユニットの中心からジンバルフォーク雲台の中心が少し外側にシフトするように装着するのがキモ。

この状態で、実際に撮影機材をジンバルフォーク雲台に接続し、パンベース・クランプユニット中心からのシフト距離を細かく調整すれば、東西方向に関しては完全にバランスを取ることができます。

 

 

 

また、前後(南北)方向のバランスについては、例えば三脚座付きの望遠レンズであれば、三脚座につけるアルカスイス規格の接続プレートの長さを少し長いものにしておきます。
そうすればレンズごと前後に動かしながら適切なバランス位置になるよう調整できますよね。

このような条件を揃えいけば、東西方向、および南北方向の両方で、完全にバランスがとれた状態にもっていくことが可能になります。

 

クランプフリー状態ですから、超望遠撮影でも、画角の中心に天体を導入するのは非常に簡単です!

 

どうです? 大きなメリットでしょう?
でも剛性面ではレバークランプに軍配が上がるので、ケースバイケースでの装替が歩留まりと使いやすさのバランス向上につながります。

 

 

ちなみに、TTスタッフが使っている個人機材やデモ機材は、全てパンベース・クランプユニットに付け替えてあります。パンベース・クランプユニットは、汎用性、拡張性に優れ、なおかつ現場での運用が圧倒的に楽になるからです。

しかし、BORGを使った超望遠撮影では、迷わずレバークランプに付け替えます。剛性がシステム全体に影響を与えるからです。

 

したがって、冒頭の質問に対しては、パンベース・クランプユニットに大きな負担がかからない機材との機材との組み合わせであれば、装替OK!という判断基準がひとつの答えです。

 

 

以上、お役にたてば幸いです。

TTスタッフからの豆知識でした!