井の頭公園の南側では、早咲きの桜が観光客の目を楽しませているようです。
その周辺では実に多彩な国々からの観光客を見かけますが、彼らの目当ては「三鷹の森ジブリ美術館」。
いつも行列が絶えない人気の観光スポットですが、こんな近くで仕事をしているTOASTスタッフたちは、だれも訪れたことがないという未知の場所です(笑)。
さて、超高感度撮影が可能なSONY α7S。その天体改造モデルをつかい、短時間露光で大量の静止画素材を撮影し、ステラナビゲーターのスタック処理で見事な作品づくりをされている平野さんから近況が届きましたので早速ご紹介しましょう!
********** 平野さんのコメント **********
平野と申します。
先週末、撮影に出かけてきました。
場所は前回と同じ山梨県鳴沢村です。
というかいつもここです。
今回は前回の反省を生かしてジンバル雲台に戻しての撮影にしました。
幸い一晩中風もなく、安定して撮影することができました。
3月になりさすがに冬の星座もシーズンが終わるころですが、
前回露出不足で投稿するに至らなかったかもめ星雲を送付します。
[IC2177 Segull Nebula(かもめ星雲)]
カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 128枚
後処理:ステライメージ7でスタック (トリミングなし)
追 尾:TP-2
1時間以上の露出をかけるとだいぶ滑らかになりますね。
もっと広範囲に赤い星雲が広がっているようなのですが、フラット補正がまだできていないため
この程度の処理になりました。
今年中にはフラット補正をきちんとマスターしたいと思っています。
[本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星]
カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 69枚
後処理:ステライメージ7でスタック (720mm相当までトリミング)
追 尾:TP-2
こちらは本田・ムルコス・パジュサコバ彗星です。
彗星というと明け方か日没直後にしか撮れないというイメージがあったのですが、ヘンな名前に惹かれて撮ってみました。
初めての彗星撮影の割にはよくできたかなと思っています。
さすがにイオンテイルも短くなっているので、こちらは720mm相当までトリミングをしました。
計35分間の露出を恒星基準でスタックしていますが、地球から離れたこともあり彗星の核の移動は気にならないレベルでした。
( カメラ:α6300 / レンズ:Samyang 12mm F2.0 NCS CS(開放) / 感度:ISO4000 / 露出:20秒)
この日は一晩中天気に恵まれ、明け方にはさそり座を見ることができました。
こちらは撮影時の様子です。
ちなみにα6300のほうはタイムラプス専用として使っています。
普段は星空タイムラプスですが、次回は星空を追うTP-2を主題にしてタイムラプスを撮ってみようかと思っています。
天体撮影的にはまだまだ寒い時期が続きますが、お体にお気をつけください。
寒さの中での野辺山でのタイムラプス映像がどこかで見られるようでしたらぜひ告知をお願いします。
***** TOASTスタッフ *****
焦点距離360mmの超望遠レンズをジンバルフォークユニットでTP-2に搭載、さらにPole Masterを使った極軸合わせにより、歩留まりの良いインターバル撮影(同じ画角での連続撮影)システムを構築されている平野さん。
カメラの設定感度はなんとISO25600です!通常ならノイズまみれのはずが・・・
ここに平野さんがこだわるテクニックが凝縮されています。
手のひらに乗る小さな追尾装置に4キロを超える機材を搭載しての撮影、しかも前後に長い望遠鏡は適切なバランス調整や風による振動の影響なども配慮しなければなりません。もちろん長い焦点距離のレンズでは極軸合わせもかなりシビアになります。
そこでISOを25600まで上げて1枚の露出時間をわずか30秒に切り詰めて撮影することで、1時間を超える連続撮影でも高い歩留まりを維持しながら128カットもの撮影を成功しているのです。
これを1カット2分露出にすれば撮影カット数は1/4で済む計算になりますが、歩留まり率は下がります。
平野さんは、光量不足やノイズなどを後工程のスタック処理でどこまでまかなえるかを事前に判断し、撮影時の歩留まりを出来る限り良くするためISO25600の30秒露光という絶妙な値を導き出しているわけです。
それにしても最後のスナップ写真、TOASTスタッフたちも大喜びでした!
カッコイイ!!!!
野辺山で撮影されたタイムラプス映像についてはテレビで放送される予定ですのでオンエアが決まったらここでご案内させていただきますね!
天文雑誌でもこれからタイムラプス作品に注目していくらしいので、ぜひ平野さんも作品づくりにチャレンジしてみてください。