カテゴリー : ユーザーのシステム

北米皆既日食:広田さん(ワイオミング州)

北米皆既日食の撮影に遠征されたTP-2ユーザーの広田さんから作品をご投稿頂きましたので早速ご紹介しましょう!

 

********** 広田さんのコメント **********

広田と申します。

Toastスタッフさんも行かれたようですが、私も前から計画していてWyoming州のShoshoniという片田舎に見に行ってきました。
焦点距離480mmの望遠鏡を使ったのですが、TP2のおかげで1/10秒のようなスローな露出でも全くぶれずに撮れました。

 

感度:ISO200 シャッター速度:1/320秒

感度:ISO200 シャッター速度:1/10秒

感度:ISO200 シャッター速度:1/200秒

 

<共通データ>

光学系 :Televue 70mm ED fl:480mm f:6.8
カメラ :OM-D E-M5 Mark2(直接焦点撮影)
微動架台:スカイメモS/T用微動雲台
微動雲台:BORG 片持ちフォーク式赤道儀
追 尾 :TP-2
撮影地 :ワイオミング州

 

 

********** TOASTスタッフ **********

広田さん、ご投稿ありがとうございます。

皆既日食撮影成功おめでとうございます!

センサーの小さなマイクロフォーサーズのカメラを使用することで焦点距離が35mm換算で2倍になりますので、撮影システム自体が大幅に小型軽量化できます。今回の広田さんのシステムでは1000mm近い焦点距離が得られています。

それでもトップヘビーになりがちな皆既日食用の撮影システムですが、あえて重いGITZOの金属製三脚(G226)を組み合わせ、しっかり脚元を固めていらっしゃる広田さんは、さすがですね~。

 

撮影地のワイオミング州ショショーニの緯度は43度ちょっとあり、国内での撮影よりも設置仰角が高くなりますが、微動架台としてスカイメモS/T用微動雲台を組み合わせて使いやすいシステムになっています。

TP-2の駆動モード切り替えスイッチには、誤作動を防止するためにご自身でカバーを装着されている点も手慣れていますね。

よく見ると、TP-2の裏面には何やらピンク色の付箋が貼られています。おそらく現地での設置手順などミスをなくすためのメモ書きなのでしょう。たった2分ちょっとのスペクタクルを確実にものにしようとする広田さんの手堅い準備が見て取れます。

また、皆既日食のクローズアップを狙う超望遠レンズでは、画角が極端に狭くなるため自由雲台ではフレーミングが困難になります。

そこでBORG 片持ちフォーク式赤道儀を微動雲台として利用し、太陽を正確にカメラの画角中心に導く工夫をされています。

こうした細かい配慮の数々が、最終的に撮影の成功へと繋がるわけです。

臨場感あふれる皆既中のスナップ写真もいいですね~。

TP-2を存分に活用してくださって、スタッフ一同感激です!

30秒露光×128枚で総露出1時間オーバー:平野さん

井の頭公園の南側では、早咲きの桜が観光客の目を楽しませているようです。

その周辺では実に多彩な国々からの観光客を見かけますが、彼らの目当ては「三鷹の森ジブリ美術館」。

いつも行列が絶えない人気の観光スポットですが、こんな近くで仕事をしているTOASTスタッフたちは、だれも訪れたことがないという未知の場所です(笑)。

さて、超高感度撮影が可能なSONY α7S。その天体改造モデルをつかい、短時間露光で大量の静止画素材を撮影し、ステラナビゲーターのスタック処理で見事な作品づくりをされている平野さんから近況が届きましたので早速ご紹介しましょう!

 

********** 平野さんのコメント **********

平野と申します。
先週末、撮影に出かけてきました。
場所は前回と同じ山梨県鳴沢村です。
というかいつもここです。

今回は前回の反省を生かしてジンバル雲台に戻しての撮影にしました。
幸い一晩中風もなく、安定して撮影することができました。

3月になりさすがに冬の星座もシーズンが終わるころですが、
前回露出不足で投稿するに至らなかったかもめ星雲を送付します。

[IC2177 Segull Nebula(かもめ星雲)]

カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 128枚
後処理:ステライメージ7でスタック (トリミングなし)
追 尾:TP-2

1時間以上の露出をかけるとだいぶ滑らかになりますね。
もっと広範囲に赤い星雲が広がっているようなのですが、フラット補正がまだできていないため
この程度の処理になりました。
今年中にはフラット補正をきちんとマスターしたいと思っています。

 

[本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星]

カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 69枚
後処理:ステライメージ7でスタック (720mm相当までトリミング)
追 尾:TP-2

 

こちらは本田・ムルコス・パジュサコバ彗星です。

彗星というと明け方か日没直後にしか撮れないというイメージがあったのですが、ヘンな名前に惹かれて撮ってみました。
初めての彗星撮影の割にはよくできたかなと思っています。

さすがにイオンテイルも短くなっているので、こちらは720mm相当までトリミングをしました。
計35分間の露出を恒星基準でスタックしていますが、地球から離れたこともあり彗星の核の移動は気にならないレベルでした。

 

( カメラ:α6300 / レンズ:Samyang 12mm F2.0 NCS CS(開放) / 感度:ISO4000 / 露出:20秒)

 

この日は一晩中天気に恵まれ、明け方にはさそり座を見ることができました。
こちらは撮影時の様子です。

ちなみにα6300のほうはタイムラプス専用として使っています。

普段は星空タイムラプスですが、次回は星空を追うTP-2を主題にしてタイムラプスを撮ってみようかと思っています。

天体撮影的にはまだまだ寒い時期が続きますが、お体にお気をつけください。

寒さの中での野辺山でのタイムラプス映像がどこかで見られるようでしたらぜひ告知をお願いします。

 

***** TOASTスタッフ *****

焦点距離360mmの超望遠レンズをジンバルフォークユニットでTP-2に搭載、さらにPole Masterを使った極軸合わせにより、歩留まりの良いインターバル撮影(同じ画角での連続撮影)システムを構築されている平野さん。

カメラの設定感度はなんとISO25600です!通常ならノイズまみれのはずが・・・

ここに平野さんがこだわるテクニックが凝縮されています。

手のひらに乗る小さな追尾装置に4キロを超える機材を搭載しての撮影、しかも前後に長い望遠鏡は適切なバランス調整や風による振動の影響なども配慮しなければなりません。もちろん長い焦点距離のレンズでは極軸合わせもかなりシビアになります。

そこでISOを25600まで上げて1枚の露出時間をわずか30秒に切り詰めて撮影することで、1時間を超える連続撮影でも高い歩留まりを維持しながら128カットもの撮影を成功しているのです。

これを1カット2分露出にすれば撮影カット数は1/4で済む計算になりますが、歩留まり率は下がります。

平野さんは、光量不足やノイズなどを後工程のスタック処理でどこまでまかなえるかを事前に判断し、撮影時の歩留まりを出来る限り良くするためISO25600の30秒露光という絶妙な値を導き出しているわけです。

それにしても最後のスナップ写真、TOASTスタッフたちも大喜びでした!

カッコイイ!!!!

 

野辺山で撮影されたタイムラプス映像についてはテレビで放送される予定ですのでオンエアが決まったらここでご案内させていただきますね!

天文雑誌でもこれからタイムラプス作品に注目していくらしいので、ぜひ平野さんも作品づくりにチャレンジしてみてください。

簡易ジンバルシステムで128カットの撮影に挑戦!:平野さん

先週は太平洋側では比較的良い天候が続きましたね。
TOASTスタッフのカメラマンの一人は、長野県にある国立天文台野辺山宇宙電波観測所で夜のタイムラプス撮影に勤しんでいましたが、夜の気温はマイナス13度まで低下し、バッテリー性能がどんどん低下していって大変だったそうです。

極寒の地でのタイムラプス撮影は、カメラバッテリーの保温対策をしていても万全とは行きません。カメラはもちろんカメラワーク用のTP-2やレンズヒーターなど、どれかひとつでもバッテリーが死んでしまうと撮影は途端に失敗となるからです。

それにしても冬の野辺山は本当に寒いところですよ。スナップ写真を見せてもらいましたが、撮影機材はアラスカでのロケ並に真っ白く凍り付いていました・・・。

さて、前回に引き続きTP-2ユーザーの平野さんから作品を投稿頂きましたので、早速ご紹介しましょう!

 

********** 平野さんのコメント **********

平野と申します。
先月の新月期も撮影に出かけてきました。

TP-2とBORG

今回はより可動域を広げるべく、水平部と垂直部ともより長いアルカスイスのレールに変更してみました。

狙い通り北側の死角は減ったのですが、やはりレールを長くすると途端に風に弱くなりますね。

特にこの日は風が強かったため、歩留まりが悪化してしまいました。

 

バラ星雲 (TP-2)
【 バラ星雲 】

カメラ:α7S(天体改造)
光学系:BORG 90FL + レデューサー 360mm F4
フィルター:LPS-D1
感度 :ISO25600
露出 :30秒 ×64枚(ステライメージ7でスタックおよび各種処理)
追尾 :TP-2
撮影地:山梨県鳴沢村
撮影日:1月27日

馬頭星雲(TP-2)
【馬頭星雲】

カメラ:α7S(天体改造)
光学系:BORG 90FL + レデューサー 360mm F4
フィルター:LPS-D1
感度 :ISO25600
露出 :30秒 ×64枚(ステライメージ7でスタックおよび各種処理)
追尾 :TP-2
撮影地:山梨県鳴沢村
撮影日:1月27日

 

今回は128枚でのスタックを目指して1時間以上時間をかけたのですが、半分近くのカットが風に流されてしまい結局前回同様64枚での画像処理となってしまいました。

この構成でバランス自体はとれているのですが、南天の対象を狙うときは無理せず前回の構成のようにジンバル雲台を使って重心を下げるほうがよさそうです。

 

***** TOASTスタッフ *****

平野さん、前回に続き素晴らしい作品をご投稿いただきありがとうございます!

今回は合計30分を超える露出時間で星雲の細部まで表現されています。

ジンバルフォークユニットではなくバーティカルレールクランプとロングレールプレートを組み合わせ簡易的なジンバル雲台システムを構築されています。

海外ロケの仕事が多いTOASTスタッフの一人も同様のシステムを必ず機材の中に忍ばせていますが、アルカスイス準拠のロングプレートは薄い板状のパーツですので、周囲の振動や風の影響をもろに受けてしまいます。

海外遠征など持っていく荷物を減らさなければならないときには、簡易的なジンバルシステムとして大活躍しますが、長さの短い中望遠レンズで使用するのがオススメです。

特に前後に長い望遠鏡は、一度振動を受けてしまうと揺れが収まるまでかなりの時間を要しますので要注意でしょう。

平野さんの機材と撮影スタイルであれば、ジンバルフォークユニットによるシステムを強くオススメします。

それにしてもα7Sの天体改造版、なかなか良いですね~!
一眼レフに比べて圧倒的に軽量化できますし、それでいてフルサイズ機。

次はどの天体を狙うんでしょうか?

TOASTスタッフ一同楽しみです!

Pole Masterを使ったTP-2の極軸合わせ:平野さん

この週末は今季最大級の寒気団が日本列島に押し寄せているとかで、今朝は東京の吉祥寺でもバケツの水に薄っすらと氷が張っていました。

さて、1月に入ってようやく西高東低の気圧配置で天候が安定してきましたね。去年は梅雨明けからずっと悪天候に見舞われた半年で、せっかくベストな月齢と休日が重なっても遠征に出かけることさえままならない状況が続いていました。あまりに天文機材の出番がないので、ある友人は今やすっかり休日の野鳥撮影にハマってしまったとか。曇っていても撮影できますし野鳥には月齢も関係ないので、週末の予定が立てやすく毎回ちゃんと成果を持ち帰れるのが楽しいようです。

確かに天体写真は多くの条件が全てクリアにならないと撮影できない趣味なので、あまりに悪天候が続いてしまうとモチベーションを維持するのはなかなか大変です。

そんななかでも、ちゃんと成果を出している方もいらっしゃいます!

今回は、TP-2ユーザーの平野さんから興味深い情報が届きましたので早速ご紹介しましょう!

 

********** 平野さんのコメント **********

初めまして。平野と申します。

2年ほど前にTP-2を買い天体写真を始めました。
やっとそれなりに見られる写真が撮れたので投稿いたします。

Pole Masterを使って極軸を精密に合わせていることやISOを上げて30秒露出としていることもあり、カットの歩留まりは9割を超えます。
そのため予定の枚数を稼ぐことが簡単になり、計画的に撮影を進めることができました。

ISOを上げているので背景のざらつきが取り切れていませんが、30分でここまで撮れれば合格かなぁと思います。次回は128枚、総露出1時間でトライしてみようと思っています。

M31 アンドロメダ銀河(TP-2)

【 M31 アンドロメダ銀河 】

カメラ:α7s改
光学系:BORG 90FL+レデューサー(360mm F4)
フィルター:LPS-D1
感度:ISO 12800
スタッキング:30秒×64枚
撮影地:山梨県鳴沢村
追尾:モバイル赤道儀TP-2
備考:トリミングあり(南が上になっています)

 

M45 プレアデス星団 (TP-2)

【 M45 プレアデス星団 】

カメラ:α7s改
光学系:BORG 90FL+レデューサー(360mm F4)
フィルター:LPS-D1
感度:ISO 25600
スタッキング:30秒×64枚
撮影地:山梨県鳴沢村
追尾:モバイル赤道儀TP-2
備考:トリミングあり

 

BORG 90FL+レデューサー (360mm F4)

機材写真は別途自宅で撮ったものになります。
写っていませんが三脚はBENROのカーボンフラット三脚C3190Tを使用し、中型パンベースクランプユニットに換装したTP-2をDish-2の上に載せています。

90FLは一部をカーボン鏡筒にしているためレデューサー込みで2kg、カメラやジンバル雲台等でトータル3kgちょっとというところでしょうか。バランスもこの状態で取れているのでTP-2の動作には全く問題ありません。

取り回しは意外と楽なのですがやはり片持ちフォーク式は可動範囲が限られるため、ドイツ式への変更を検討中です。それでもトータル5kg以下に収まりそうなので動作には問題ないかと思っていますがいかがでしょうか。カシオペア座やぎょしゃ座も撮りたいですからね。

また、Dish-2を使った極軸合わせは快適そのもので、タイムラプス用カメラの水平出しのためにもう一台買おうかと思うくらいです。

撮影地でTP-2を使っている方にお会いしたことは残念ながらありませんが、ご一緒した方に見せてほしいと言われることはよくあります。
お見せするとその小ささに感心され、BORGの90FLが乗っていることにびっくりされます。

また写真ができましたら投稿させていただきます。

 

***** TOASTスタッフ *****

平野さん、素晴らしい作品をご投稿いただきありがとうございます!

今話題沸騰中の「Pole Master」をTP-2と上手く組み合わせたユニークなシステムですね。

雲台取付け部分をオプションのパンベースクランプユニットに換装すると、世界中のサードパーティ製のアルカスイス互換機材を自由に組み合わることができるのでとても便利ですよね。

今回は、アルカスイス準拠のロングバーを使い、片方にジンバルフォークユニットをもう片方に「Pole Master」を上手く装着されています。このスタイル、TOASTスタッフたちのあいだでも全く想像すらできなかったユニークで実用的なシステムに仕上がっています。

注目はジンバルフォークが極軸中心から外側に少しずらして搭載している点です。こうすることで、搭載機材の重心がシフトして東西方向のバランスをバッチリ取ることができるため、クランプを締めなくても撮影機材はピタリと止まったままいわゆるフリークランプ状態が実現、この状態なら目的の天体の導入もスムーズに行えます。

一見するとアンバランスで不安定なように見えますが、実は搭載機材の重心が極軸上にシフトしているのでバランスがしっかり取れています。偏荷重状態にならないため重い撮影機材を搭載してもちゃんと追尾してくれるのです。そのあたりをきちんと理解された上でロングバーを組み合わせ、反対側にPole Masterを装着するとは、平野さんかなりのアイディアマンです!

プレートをきちんとクランプに装着すれば、TP-2の極軸に対してかなり正確にPole Masterの平行を出すことができますし、カメラや光学系にPole Masterが塞がれることもありません。

ところでTP-2の最大積載重量に関する問い合わせを時々いただきますが、平野さんのようにバランスをシフトしてきちんと極軸上に搭載機材の重心を合わせることができればBORGでもちゃんと駆動します。例えば、極軸直上に10kgのウエイトを乗せても回転するだけのトルクを有していますので、重要なのはバランスをいかにとるかという点です。極端な偏荷重状態で機材を搭載してしまうと、追尾の歩留まりが低くなるばかりか徐々に駆動系にもダメージを与えてしまう恐れもあります。

ドイツ式の赤道儀ではバランスウエイトを使用することで東西方向の重心バランスを調整しますよね。一軸式の小型赤道儀でもバランスウエイトを付けることで同じような効果を得ることはできますが、機材が重くなってしまうのはなんだか本末転倒な気がしませんか?

TP-2にジンバルフォークユニットを組み合わせてバランスシフトをしてやれば、ウエイトをつかわずにBORGなどの光学系を搭載することもできます。もちろん重さわずか1.5kgにも満たない小型の赤道儀に重い機材を搭載すると極端なトップヘビー状態になりますので、転倒のリスクや風や周囲の振動を拾いやすくなり、結果として歩留まりに影響してきます。組み合わせる三脚や架台などを吟味し、タワミや緩みなどが起こりにくいシステムを組んでいくことも歩留まりを稼ぐコツです。

平野さんのように、高感度設定で天体撮影をする場合は、露出時間を短くして同じ構図で連続撮影を行い、あとでスタック処理を行う方法がスタンダードとなっています。画像を重ねていくことで結果的にノイズも少なくなり淡い天体の光もあぶり出すことができますので、長焦点の光学系を使った撮影にも対応できるというわけです。ちなみに、目安としてできれば合計露出時間が30分を超えるように計算して必要な枚数を撮影するようにすると画像処理の段階でいい結果を得やすくなります。

平野さん、他の天体もぜひ狙ってみてくださいね、TOASTスタッフ一同期待しています!

思わずうっとり・・・星空の360度パノラマ:佐藤信敏さん

小型のウエアラブルカメラを複数台組み合わせたMotion VRやRICOHのTHETAを使ったVRなど、いま再び360度のVRコンテンツが注目されています。

TP-2を使って様々な作品づくりを楽しんでいらっしゃる佐藤信敏さんから、今度はなかなか衝撃的な作品が送られてきましたのでご紹介しましょう!

 

********** 佐藤信敏さんのコメント **********

先日は投稿の採用ありがとうございます。

今回は少し変わった使い道をご紹介します。
星空の360度のパノラマです。

映像の見方はグーグルマップのストリートビューと同じです。画面をドラッグすると絵がぐるぐると動き天地左右360度の映像を見ることが出来ます。WEB上での作品なので残念な事にULRでのリンクでしか見ることが出来ません。

実際の撮影はTP-2の上にパノラマ専用の雲台をのせて全天を8枚の写真に分割撮影をして、後作業でそれを合成してパノラマを作るという作業になります。

星空を撮るときは、おのおの2〜5分の露出をかけますので地上はぶれてしまいます。ですから赤道儀のスイッチを切って地上だけ別撮影をするという新星景の手法を使い作品を作り上げます。

機材はNikonD810AにSamyang12mm FisheyeとBushmanPanorama GOBIマウントという比較的ヘビーなセットを使っています。
長時間にわたりカメラを何度も動かして何枚もの撮影をする関係上しっかりとした赤道儀でないとカメラ位置が変わってしまい、後の合成作業でズレが出てしまい都合がよくありません。
かといって大きな赤道儀だと赤道儀自他も写ってしまいカメラアングルの制限が出来てしまうので、これも都合がよくありません。その点TP-2はコンパクトで剛性も優れ精度も高いので、このような無理な撮影でも完璧に仕事をこなしてくれます。

 

今回紹介するパノラマは伊豆半島の突端の爪木崎灯台からの星空と房総半島の御宿の海岸からの星空です。
1億4千万画素で作っていますのでモニターのフルスクリーンでご覧になると臨場感が増すと思います。
どちらも、とても足場が悪いところでの撮影でしたのでコンパクト・軽量で素早くセッティング出来る機材はとても有利でした。

御宿のパノラマは波の音をBGMに使っているのでその場で星見をしている臨場感も味わえると思います。

 

TP-2による爪木崎灯台360度パノラマ
 TP-2による爪木崎灯台360度VRパノラマ

カメラ:Nikon D810A
レンズ:Samyang 12mm F2.8 ED AS NCS FISH-EYE
パノラマ雲台:BushmanPanorama  GOBI
追尾架台:TOAST TECHNOLOGY  TP-2

 

TP-2による御宿海岸360度パノラマ

TP-2による御宿海岸360度VRパノラマ

カメラ:Nikon D810A
レンズ:Samyang 12mm F2.8 ED AS NCS FISH-EYE
パノラマ雲台:BushmanPanorama  GOBI
追尾架台:TOAST TECHNOLOGY  TP-2

 

***** TOASTスタッフ *****

小さな サムネイルを見たただけでも強烈な印象を受ける2つの作品。まずは何も言わずクリックしてみてください。驚きの世界がモニターに現れます。暗くした部屋のなかで、しばし時を忘れて御覧ください!

ディフュージョンフィルターを使った星空の美しさはもちろん、絶妙なバランスで浮かび上がらせた見事な地上のディテールからは、まさに佐藤さんのセンスの高さをうかがい知ることができます。

星が極端に小さくシャープに見えるのはモザイク合成処理による1億4千万画素という超多画素処理によるものですが、フルサイズ機対応のSamyan 12mm Fish-Eyeは、なかなか良い仕事をしてくれていますね。

 

ところで、佐藤さんが使ったパノラマ雲台はコンパクトな設計と使い勝手の良さが評判のチェコのメーカー。TOASTスタッフの知人カメラマンたちも数多く使っているパノラママウンです。遠征先のフィールド撮影では、どんな機材でもコンパクトで剛性の高いものが望まれます。そうした設計思想の機材たちは、ユーザーをどんどんフィールドに導いてくれるようです。

 

ところで「新星景」という言葉、去年あたりからよく耳にするようになってきました。

同じ画角で固定撮影と追尾撮影を行い、それぞれをマスク処理してひとつの画面に合成するという手法で、アメリカなどでは以前から積極的に取り入れられています。
完全なる合成画像作品なので特に国内では賛否両論があるようですが、サイエンスかアートかの主観の違いとも言えそうです。
合成処理であることをきちんと明記すれば、それはアート作品のひとつとして大いに受け入れられるものとTOASTスタッフは思うのでした。

ただし、この「新星景」、非常につくり手にセンスが問われる手法でもあります。いわば作者の脳内で合成された現実にはありえない世界を具現化するわけですから違和感があっても当然なのかもしれませんが、「合成処理作品」と銘打ってやるなら、ありえない世界をとことんリアルに追求してみたいものです。不自然な世界のなかに、いかに自然を作りだせるかが勝負とでもいえるでしょうか?

その点、佐藤さんは見事なバランス感覚とセンスをもっていらっしゃる作家さんですね。

現時点では無敵と言われる(?)IRカットフィルターを外した天体専用カメラのD810A。赤をしっかり出しながら自然なカラーバランスに仕上げるには、技術というよりもこれもまたセンスが必要なんですよ。

あー、それにしてもこの作品、ため息しか出てきませんね~。美しすぎるぅ!!!!

今夜は夢を見そうです・・・。