さて、今日もモバイル赤道儀のユーザーからご質問が来ていますよ。
TTスタッフが出来る限りお答えしていきたいとおもいます。
では行ってみましょう!
【ユーザーQuestion】
TP-2で彗星をメトカーフで撮るにはどうすればいいですか?
【TTスタッフからのAnswer】
ああ、なるほど。
以前、Blogでご紹介したこの画像をご覧になって、不思議に思ったのでしょうね。
TP-2には、恒星を撮影するための「STAR」モードのほか、「SUN」、「Moon」と三つの天体撮影モードを搭載しています。
しかし、残念ながら彗星撮影モードや惑星撮影モードというのは、ありませんよね。
これには理由があります。
惑星や彗星は、夜空の中で固有運動をする天体だからです。
今は、高感度のCCDカメラで彗星の核を捉え、複数の駆動軸を制御しながら固有運動をトレースしていく方法もありますが、彗星の撮影では昔から「メカトーフ法」が用いられてきました。
そう、彗星の撮影といえば、「メカトーフ法」だったのです。
しかし、固有運動を追尾するには、最低でも2軸以上の駆動軸があり、なおかつその固有運動の詳しいパラメータを予め入力し、軸を個別に制御する必要があります。
つまり、どんなに精度が高いモバイル赤道儀TP-2といえども、1軸駆動では固有運動をシミュレートすることは不可能なのです。
「でも、実際に彗星を追っかけて撮影してるじゃん!」
という声が、まさに今回のご質問の意図でしょう。
実は、その答えは超マニュファクチャリングなものです。
TP-2を「STARモード」にし、通常の星野撮影の時のように彗星をカメラでフレーミングし追尾撮影するだけです。
このとき、タイマーリモートコントローラーなどを使って、(使用するレンズの焦点距離にもよりますが)30秒から1分程度の短時間露出で複数枚(10枚から20枚)のカットを連続撮影します。
ポイントは、彗星の核が流れて映らない程度の短い露出時間を繰り返すこと。
できればRAWで撮影しておくといいでしょう。
撮影が終わったら、RAW現像ソフトですべてのカットを同じパラメータで適切に現像します。
次に、Photoshopなどの画像処理ソフトをつかって、撮影カットを順番にコンポジット処理していきます。
そのまま重ねるだけでは、星はすべて点像になっていますが、彗星の核は、線状に写っているのがわかります。
ここからが腕の見せどころです!
核の部分を強拡大して、すべての画像の核がピッタリ重なるように一枚ずつ丁寧に位置を合わせ、最後にそれぞれのレイヤーを比較的合成などで1枚の画像にコンポジットして出来上がりです。
「えっ!?それだけ????」
はい、巷では「メカトーフコンポジット法」なんて洒落たネーミングで呼んでいる方もいるようですが、TTスタッフは、昔っからこの方法です(笑)。
見た目はメカトーフ法で撮影したかのように見えますが、「メカトーフコンポジット法」だったのです(笑)。
擬似的ではありますが、この方法を使うだけで、彗星のコマの部分や尾の細かいディテールまで表現ができますので、モバイル赤道儀を使った彗星の撮影方法としては、かなり面白いとおもいますよ。
質問者さん、こんなところでご納得いただけましたでしょうか?
さて、今夜はクリスマスイブ。
予定がある人もない人も、夜空の星を眺めながら、1年で最も忙しく世界中を移動するサンタさんに想いをはせてみてはいかがでしょうか?
今年も「北アメリカ航空宇宙防衛司令部」では、サンタクロース追跡プログラムを実施しているようですよ!
ではみなさん、素敵なクリスマスイブをお過ごし下さいね!
「Merry Christmas!」