ISS 国際宇宙ステーション撮影 PartⅡ:名古屋城の巻

国際宇宙ステーション(ISS)の通過予報をスマホで気軽に知ることができるAndroidアプリ「ISS Detector」は、アラート設定もできるらしい。だが・・・

 

「今度の土曜日、ISS大会やりましょうよ!」

アプリのアラートよりも早く、見頃のISS情報が青年Kから届くのであった(笑)。

 

土曜日とは、去る4月27日のこと。

前回の4月8日とほぼ同条件で、日没後に北西の低空から頭の真上近くを通過し南東の地平線近くまで見える天空Show。最大で-3.2等星まで増光するという。

そんな青年Kからの連絡を受けたTTスタッフだったが、その日は、あいにく愛知県名古屋市で仕事が入っていた。早速そのことを青年Kに伝えると、彼は高校時代の天文部の恩師を誘って、ISS大会をやるからいいもんね、と・・・。

 

そんな訳で今回のISS通過を名古屋市内で狙うことになった。

名古屋の地理に疎いTTスタッフ、一体どこにカメラをスタンバイすればいいのか、さて困った。

 

名古屋と言えば・・・そりゃ、名古屋城でしょう!!

というわけで、仕事を終えたその足で、スマホ片手に一路名古屋城へと向かうのだった。

 

「ISS Detector」によると、名古屋市内での見え始めは19時5分28秒から。
今回も、レンズはサークルフィッシュアイと対角魚眼をチョイス。名古屋城をかすめて飛ぶISSを撮影するには、名古屋城の南側に位置する場所で、しかも至近距離に三脚を置く必要がある。

ところがいざ名古屋城に到着してみると、すでに門は閉じられ、一般人は城内に入れないことが判明!

1時間もあれば余裕で撮影準備できるっしょ! と高をくくっていたが、一気にカウントダウン状態に追い込まれた。

とりあえず名古屋城の回りを車で周回しロケハンをおこなうものの、フィッシュアイレンズを活かせるほどの距離まで名古屋城に近づくのは到底不可能だということを直ぐに悟り、仕方なく近くの公園のど真ん中に、三脚を据えた。

「名古屋城、あきらめました・・・」

 

日没後の薄暗い公園では、まだ子どもたちがボール遊びをしていたり、なぜか沖縄民謡を踊っている集団がいたりと、せわしない状況。そこで、持っていた三脚の中でもっとも高くまで脚を伸ばせるGITZOのシステマチックにカメラをセットした。

ところがだ・・・・。

 

東京よりも西に位置する名古屋は、当然東京よりも日没時間が遅い。つまり、まだ空が暗くなる前にISSがやってくる。
露出の決断に頭を悩ませる。

できるだけISSの光跡を明るく写したい。さらに背景となる星も入れたい。でもISO感度設定を上げたり露出時間を長くすると、西の空が完全に飽和してしまう。そしてISS通過中にも、空の明るさはどんどん変化していくという難しい条件・・・。

 

直前まで試写を繰り返し落とし所を探るが答えは出ず。
とりあえず撮影はRAWで収録することだけ決め、空が極端なオーバーにならないギリギリの露出で撮影を行うことにした。

 

出現予報時間の1分前から露出開始。

相変わらず辺りには、沖縄民謡が響き渡ってる。

 

出現予報時間をかなり過ぎた頃、まだ明るい北西の空の中に、ようやくISS 国際宇宙ステーションの輝きを確認することができた。

 

カメラの設定は、絞り5.6、ISO200、露出2秒。タイマーリモートコントローラーによる自動撮影なので特にやることはない。次第に増光するその光を沖縄民謡をBGMに、しばし楽しむ。

中部国際空港が近いため、明滅するいくつもの航空機の光がISSをかすめていく。

ISSは、南東の空に近づくほど、明るさを増し、速度を落としていくかのように見える。

 

やがてその光は突然・・・消えた。

 

撮影を終えたカメラをすぐさまチェックする。

背景の空は予想通りちょうどいい感じだったが、残念ながらISSは少し露出不足気味。RAW現像でなんとか救えればいいけれど・・・。

 

撮影を終えた機材を撤収し、ホッとしたところで、青年Kにメールを送る。

「名古屋城は微妙な結末です。そちらは、どうでしたか?Good job?」

 

するとしばらくして青年Kから返信が。

「僕としたことが・・・惨敗です。撮影中にフォーカスが動いてしまったようで、無残な結果です。落ち込んでます、超ブルーです・・・」

 

今回、青年Kは、BORG77EDⅡにEOS 6Dを付けて、ISSのクローズアップを狙っていたのだそうだ。事前にフォーカスもバッチリ合わせ、頭上の追尾を可能にするジンバルフォーク雲台を使ってISSをフレーミングし続け、シャッターをガシガシ押す作戦だったらしい。

ところが、ドロチューブの固定ネジが僅かに緩んだのか、撮影を終えてみるとどのショットも僅かにピンぼけで、とても見せられるようなものではなかったという。

 

というわけで、TTスタッフによるISS名古屋城大作戦は、このような結果になりました。

 

左下に小さく名古屋城が・・・本当は画面中心近くまで天守閣と鯱が迫る構図を狙いたかったのに、残念。完全なリサーチ不足です。

 

 

Photoshop CS6の機能を使い、およそ200枚の撮影カットを自動的に比較明合成で仕上げてみたものの、やっぱりISSの光が弱いなぁ。

 

Androidアプリ「ISS Detector」をチェックしてみるも、10日以内に条件の良いISS通過は一切無いらしい。

 

次回、青年KからISSアラートがいつやってくるのかわからないけれど、今回の失敗を糧にお互いにリベンジを誓うのであった。