TOAST style

モバイル赤道儀 HOMETOAST STYLE 佐藤俊彦さん・1

Vol.11 佐藤俊彦さん

土生さん

佐藤俊彦 Toshihiko Sato

1961年生まれ、新潟県新発田市在住。
幾つかの職業を経て、現在はたまに舞台写真などを撮るフリーランスのフォトグラファー。2008年に初めてポータブル赤道儀Toastを購入、天体写真を始める。以来、年間40-50回を撮影に費やし、どっぷりと星見にはまっている。

1. TOASTとの出会い

本題に入る前に、私の天文歴を簡単に紹介します。

まず、私は理系の人間ではありません。しかし、SF好きな母の影響か、子供の頃より宇宙のことや超常現象には興味があり、その手の本は片っ端から読破してきました。
両親が会津の山間部の出身で、子供の頃、毎年お盆に訪れたときに見る星空の壮絶さ、足下も見えない暗さが原体験となって脳裏に刻まれています。

十数年前に一時的に興味が高じ、友人と10数万円のシュミカセを購入。
しばらく眼視を楽しんでいましたが、所詮暗い望遠鏡では月と太陽系の惑星ぐらいしか観望対象がありません。自動導入も精度不足で役立たず。
それですぐ飽きてしまい、望遠鏡も1年後には売却。
それからはたまに山に登るときに、山小屋やキャンプサイトから星空を眺めるのを楽しむくらいで、天体歴は素人同然です。

PC歴はWINDOWS 3.1の時代に買ったデスクトップが最初でした(PCゲームをやりたかったがために購入)。ですが、専門知識があるわけではなく、メモリー交換を自分でしたりするくらいが限界。ですから、未だにオートガイドのシステム構築には敷居の高さを感じてしまいます。

デジタル一眼レフカメラは、2004年に買ったニコンのD70が最初。その頃からデジタルカメラの性能も著しく向上しはじめ、私も本格的に写真を始めたのです。カメラはその後キヤノンに移行、現在は7Dと、天体用にフィルター換装した60Dを使っています。

フルサイズのEOS 5DとEF24mm F1.4Lの組み合わせで、星景写真を撮り始めたのが2006年頃。
でも、固定撮影だと天の川のディテールが出ないのでやはり追尾撮影が必要と判断、発売されたばかりのモバイル赤道儀TOASTを購入したのが2008年でした。

最も撮りたいものは、超広角レンズによる天の川の全体像でした。

プレアデスのアップなども撮りたかったですが、ポータブル赤道儀で扱えるのは300mmまでと聞いていたので、手持ちの単焦点レンズ200mm F2.8Lと300mm F4L ISでどこまで写るかを取りあえず追求しました。

ビクセンのSXDなど、小型の赤道儀も検討しましたが、いかんせんビリオディックモーションが12秒角とのことで、5秒角のTOASTとはだいぶ開きがあります。そこで、少しでも精度のいいTOASTに決めた次第。現場にPCは持ち込みたくなかったので、ノータッチガイドが前提でした。
その後、よりハンディなTOAST Proも購入、海外旅行や登山の時に活躍してくれています。

ポータブル赤道儀のいいところは、慣れれば5分前後で設定ができる点。
幸い、自宅から星祭りの会場となっている胎内天文台まで車で30分の距離。冬以外はとにかく晴れ間さえあれば、ナイタースキーへ行く感覚で胎内平を初めとする近郊のスポットへ撮影に出かけています。
1回の滞在時間はそのため長くはなく、ほとんどは3-4時間未満。一度行ったら6時間は粘るというのであれば、設定に時間がかかったとしても、オートガイドシステムによる本格機材の方が結果的にはラクですが、短時間の滞在メインの私にとっては、現段階ではポータブル赤道儀が最良の伴侶というわけです。
それに、最初から自動導入というのであれば、なかなか星や星座の位置を覚えられませんし。

2. 架台との格闘

ところが買ってはみたものの、三脚と微動架台を調達しなければ撮影はできません。最初は32mm径のカーボン三脚と大きめのスリーウェイ雲台を使いましたが、いかんせん強度不足で望遠レンズのガイドがまともにできません。
モバイル赤道儀TOASTは本体重量が3kgあり、本来ならば天体望遠鏡用のしっかりした三脚を用いるのが筋でしょう。
幾つかの試行錯誤を経て、結局三脚は36mm径のGITZO4型アルミ三脚、架台は高度調整をタカハシの三脚アジャスター、方位調整はFEISOLのパノラマ雲台を用いるスタイルに落ち着きました。

そして、これは今年からですが、「TOAST 120%活用術」で紹介されているプレートホルダーSXを活用したバランスシフト改善法を参考に、最近流行のアルカスイス規格のプレートで同様のシステムを導入しました。

モバイル赤道儀TOAST Proの場合は基本的に32mmもしくは28mm径の三脚を使います。
広角レンズしか使わない時はスリーウェイ雲台を使用。85-100mmの中望遠レンズもちょっと使ってみようかなというときは、ベンロのパノラマ雲台PC1を使って方位調整、高度調整は三脚の出し入れで行うというスタイルです。

もうひとつ、TOASTを使いはじめて気づいたことに、真北へレンズを向けにくいというのがあります。そのため、ケフェウス座の散光星雲はなかなか撮る機会がありませんでした。
そういった死角を解消すべく、サードパーティー製の各種アイテムが販売されているのを見かけますが、最も手っ取り早い方法として思いついたのが、自由雲台を二つ重ねる親子亀方式。

これは今年から導入したもので、まだ100mmまでのレンズでしか試していません。これで重さ1.5kgの望遠ズームを載せても充分な追尾精度が得られるかまでは試していませんが、取りあえず死角は解消するし、東荷重のバランスの保持もしやすいです。

同時に導入した、左に写っているKirkの汎用L型カメラプレートも、縦位置撮影でバランスが向上するので便利。アルカ規格ではない同様のプレートが国内のメーカーから出ていますが、強度が全然違うので、アルカ規格のそれをお勧めしたいです。

No.2 「3.望遠レンズでの作例」 へ続く ≫

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