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モバイル赤道儀 HOMEEnjoy! TOAST 金環日食によせて・2 太陽時追尾速度と実際の撮影
このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。
※ これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。

K's Report 19・2012年日本縦断金環日食によせて Part-2 太陽時追尾速度と実際の撮影

さて、Part-1「そもそも赤道儀は必要か?」からの続き。

 

モバイル赤道儀TOAST Proの天体追尾モードは、恒星時スピードよりやや遅い「キングスレート」という速度を採用している。これは、実際の星空は大気の影響を受けていること(大気差)を鑑みた実践的なスピード設定のこと。望遠レンズ使用の場合などは、結構効いてくる設定であろう。
一方、TOAST Proは「太陽時追尾」は搭載していないが、そのことが実際の金環日食の撮影において、どの程度の影響を及ぼすのか?理論の上から考えてみることにする。

 

【太陽時追尾速度との違いはどの程度?】

 

86,200秒で極軸を1回転させるTOAST Pro の天体追尾速度「キングスレート」対して、太陽時追尾速度は86,400秒で極軸を1回転させる。1日=24時間=86,400秒だね。つまり、これらの差分、時間にして200秒分が1日のズレの量となる。

 

では、200秒/日のズレとはどのくらいか?

時間1秒間にズレる量は角度にして15″。つまり200秒/日のズレ量とは角度3,000″のことを指す。1時間の連続使用では125″のズレが生じるわけだね。
太陽の直径は、角度にして1,800″。だから1時間の連続運転では太陽直径の7%分ズレていくと考えられるね。金環日食のクライマックスの時間は10分前後と考えると、ズレは直径の1,2%分ということになる。

 

実際に撮像面に写る太陽の大きさがどのくらいかと言うと、撮影レンズmm数の約1/100の大きさで写る。300mm望遠なら約3mmの太陽像が得られる。

1時間の連続運転で、太陽直径の7%ズレると説明したけど、それと照らし合わせると、撮像面レベルのズレは1時間で約0.2mm。10分間だと約0.035mmとなる。今回の金環日食の全過程なら3時間、約0.6mm。

このズレ量をどう見るか?

数字的には差があるのは確かだけど、果たして問題あるのかな?

 

【金環状態の望遠撮影だけなら気にする必要なし】

 

撮影時のシャッタースピードはせいぜい1秒の数分の1。何分も露出をかけているわけじゃないからね。たとえテレコンをかまして焦点距離を2倍にしたところでも、そんなに変わらない。

 

もしも数時間に及ぶ金環日食の全行程を超望遠レンズで連続撮影したいなら太陽時追尾モードは必要だけど、広角レンズ向けのポータブル赤道儀ではよほどのベテランでないと困難な撮影方法かもしれないね。こういう撮影の時には、やはりドシっとしっかりした下半身と剛性をもった小型望遠鏡用の赤道儀が絶対的に有利。

本来、太陽時スピードとか月時スピードとかは、望遠鏡で数百倍の倍率をかけて観察したり、強拡大の撮影時にこそ威力を発揮するスピードモードである、ということをアタマに入れておくといいんじゃないかな。

Part-3「そもそも機能が発揮できないカタログスペック」に続く!