Enjoy! Toast

モバイル赤道儀 HOMEEnjoy! TOAST 黒い太陽を撃て!at中国・武漢
このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。
※ これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。

K's Report TOAST Pro編その6「黒い太陽を撃て!at中国・武漢 熱中編」

日食向けのレポートを書いたものの「平日の日食なんて行けねーよ」などと管を巻いていたある日、知り合いから連絡があった。

「1泊2日で中国へ行くツアーの空きがあるけど、行く?」

「えっ?弾丸ツアー、空きあるの?2日間なら…」

ってことで急遽参加を決意。それがわずか出発10日前のことだった。

よし、以前のレポートでバーチャル観測済みのモバイル赤道儀TOAST&新製品の「TOAST Pro」を持っていこう!とっておきの有給休暇を使って行こうじゃありませんか!

 

諸々の事情から、用意の期間は1週間。急ぎつつ、確実性も欲しい。

やはりメインはTOASTに搭載した小型屈折による太陽のクローズアップがいいな。「TOAST Pro」にはビデオカメラを担当してもらおう。デジタル一眼レフとビデオカメラ、両方を1台の赤道儀に同架してもいいんだけど、撮影中、放っておける架台があるとバタバタしないよね。特にハイテンションの中では。

 

このツアー、預け荷物の重量制限が30sという特典も売り。コンパクトにまとめず、可能な限り持って行きたいモノを持って行くべし。ならば持って行きましょう、ギリギリまで。

まずはモバイル赤道儀TOASTにポルタのアームを付け、メイン鏡筒(8cm ED)を搭載。

ポルタのアームとTOASTの接続には、ある販売店に転がっていた丈夫そうなアリミゾを使用。アームと鏡筒もアリミゾで接続。2ヶ所でスライドさせることが出来たので、バランスも簡単に合う。

写真を見て分かると思うけど、重心が三脚のほぼ真上に来ていて、ややトップヘビーな重量も難なく搭載でき、剛性も充分となった。

 

ここまでの機材の重量は、モバイル赤道儀TOASTセットに加え双眼鏡、カメラ三脚3本で20s。余裕だな、って思ってたら、自分のスーツケースがゴツイやつだということをすっかり忘れていた。なんと10s弱もあるんよ…。これで30s。預け荷物はこれで満杯。

あらら?「TOAST Pro」はどうしましょ…?
なーんて心配御無用。手荷物に忍ばせればいい。「TOAST Pro」はこれが出来る!

銀塩中判カメラ1台、デジタル一眼レフ1台、ビデオカメラ1台、それに「TOAST Pro」1台、しめて約5s。容積・重量ともデジタル一眼レフ1台分、うーむっこの機材、使えます!

 

皆既日食当日。

天候は悪くない。ただ快晴というワケでもない。日食のその瞬間までに好転を祈るのみ。早朝に機材をスーツケースに詰め、ホテルをチェックアウト。そのまま観測場所へ。

今回は魔の弾丸ツアーのため、観測後は全機材を速攻でまとめて帰路に就かねばならぬ。ここでも機材組立・分解の簡便さにおいて、モバイル赤道儀TOASTシリーズの機材は群を抜く。

 

今回TOASTにはビクセンの旧型HAL70三脚をあてがう。それにアダプター、傾斜ウェッジを介し本体と接続。極軸合わせの為の微動は無いけど、それほど高精度の極軸合わせは必要無いなぁと判断した次第。ポルタアームは赤緯微動も担ってくれるしね。

実際の極軸合わせは方位磁針と分度器の下げ振りで行なった。極軸との基準面を持つTOASTファミリーはこれで大丈夫。確かに、微動が無くちょっと手間取ったけど、周りの皆がまだ組み立てている間にセッティングまで終了した。

 

「TOAST Pro」の方は経過記録のため、回しっぱなしにするので、やや慎重にセッティング。

これも難なく終了。結果的にはこれで大丈夫だった。

あとは日食の時刻を待つのみ。

クライマックスまでは、よそ様の機材を見て回ったり、旧知の間柄の人を訪ねてみたりね。

 

日食の醍醐味はもちろん黒い太陽ではあるが、皆既前後のその異様な雰囲気も楽しみ。

 

第2接触の10分前くらいからだろうか?大気はいよいよその温度を下げ、明るさを失っていく。

風は最初から強かったが、更に強くなりひんやりとしてきた。先ほどまで焼け付く日射にさらされていた肌には、とても心地よい。

 

これがまさに「風雲急を告げる」だな。

なんの予備知識の無い古代の人たちが恐れおののくのも理解できる。

 

隣にいた人がポツリとつぶやいた。

「広野にたった一人で目の当たりにしたら怖いだろうな…」

夜の帳と勘違いした鳥たちは、寝ぐらへと群れ成し、空を横切る。

周りを見渡すと360度地平線付近が夕焼けのよう。

まさに天空の奇跡!例えようの無い美しさ!近くの街灯も点き始めた。

 

誰かが叫んだ。「皆既だ!」

 

やや雲の量が多く、皆既後半は見えずじまい。

それでも準備と機材と心掛け?のおかげで数枚の写真は撮れました。

ビデオの方も、雲間の皆既もなかなかオツなもので充分に記録となりました。快晴でなかったのは残念だったけど、見えただけヨシとせねば。

満足感の中、再びギラつき始めた太陽を背に片付け。きちんと片付けねば機材が心配。皆既直後の呆然としているアタマでもTOASTシリーズの機材は、簡単に片付くのには助かったなぁ。