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天体改造モデルと短時間露光&スタック処理

GW皆さんはどんなふうに過ごされましたか?

5月6日からの数日間、神奈川県の由比ヶ浜周辺に大規模な赤潮が発生したニュースを見て現場に急行した天文ファンも多いようです。
赤潮が発生した夜は「夜光虫」による生物発光現象が見られるからです。

波頭が深いブルーに輝く光景は昼間の赤潮のイメージからは想像できないほど神秘的。

夜光虫自体は特に珍しいものではないので、お近くの海岸や港などでも目にすることがあるかと思いますが、今回は鎌倉の由比ヶ浜という観光地でかつ大規模な発生だったため、TVのキー局ではニュースとして取り上げられたというわけです。

また、ちょうど後半夜には月も沈み、南の空にそびえ立つ夏の天の川と青く輝く海を同時にとらえることができるベストタイミングだったこともあり、天文ファンにとってもGW中のうれしいハプニングでした。

さて、SONY α7Sの天体改造モデルと短時間露光&スタック処理で見事な作品づくりをされているTP-2ユーザーの平野さんから新作が届きましたので早速ご紹介しましょう!

 

********** 平野さんのコメント **********

平野と申します。
4月末に撮影に行ってきましたので作例を投稿いたします。

 

[アンタレス付近]

カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ(360mm F4)
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 131枚
後処理:ステライメージ7でスタック
追 尾:TP-2
撮影日:2017年4月29日未明
撮影地:山梨県鳴沢村

 

[干潟星雲M8・三裂星雲’M20・NGC6559]

カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ(360mm F4)
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 104枚
後処理:ステライメージ7でスタック (540mm相当にトリミング)
追 尾:TP-2
撮影日:2017年4月29日未明
撮影地:山梨県鳴沢村

 

[撮影中の様子]

カメラ:α6300
レンズ:Samyang 12mmF2.0 NCS CS 絞り開放
露 出:20秒
感 度: ISO4000
「機材をライトで照らしているのですが、明かりの強さと照射時間の調整が意外と難しいです。暗がりの中でTP-2 を被写体とするタイムラプス撮影はかなりハードルが高いかもしれません」

 

日付が変わるころにはさそり座がターゲットに入ってくる時期になりました。
ということで今回はさそり座のアンタレス付近を1枚、干潟星雲M8・三裂星雲’M20・NGC6559を1枚です。
α7sでの超高感度短時間露出のスタイルを確立したのが昨年末ごろからだったこともあり、
人気の高いこれらの領域の撮影は楽しみにしていました。
特にアンタレスは撮影条件に恵まれる期間がとても短いので、4月末連休前半の新月期に天気が良かったのは幸いでした。
両方とも明るい対象で1時間ほどの露出時間を確保することができたので、そこそこ低ノイズに仕上げることができたと思います。

アンタレスは360mmだと少し狭い感じがしますね。一方M8M20はトリミングしても足りない感じです。
別の焦点距離で試してみたいところですが、しばらくは今の組み合わせでいろいろな対象を狙う方向で活動していきたいと思います。

このシステムはもともと、α7sのバルブ撮影が使えないというところがスタートになっています。
α7sはバルブ撮影をすると微光星が消える現象が確認されています。
これを回避するためシャッタースピードは30秒が上限になります。
この条件で必要な露出を稼ぐためにF4程度の明るい光学系+高感度撮という今の組み合わせが決まりました。
追尾時間が短くなったことにより、結果的に赤道儀が小型のものでOKということになりました。
TP-2とα7sは私にとってベストなコンビネーションだったようです。

ちなみに1200万画素の画像を100枚ステライメージ7で処理するとメモリを18ギガほど使用します。
アンタレスはメモリ不足を懸念して65枚ずつに分割して2段階で処理しました。
メモリと処理時間を大量に必要とするのがこのシステムの課題です。

 

 

**********  TOASTスタッフ **********

メキメキとスキルアップする平野さん、試行錯誤しながら作品づくりを楽しんでいらっしゃる様子が目に浮かぶようです。

機材にはアドバンテージとウィークポイントが共存します。画質や歩留まりを優先すると巨大で重く高額なシステムに行き着きますし、コンパクトなシステムでは可搬性に優れている一方で使い勝手や歩留まりが犠牲になることも。

その点で、平野さんはセンスあるバランス感覚をもっていらっしゃいますよね。割り切るところはズバッと判断しながら、勝負の舞台をトータルバランスで勝負されているようにお見受けします。

カメラの制約で短時間露光を選ばざるをえないという条件からスタートし、それを補うために明るい光学系の採用に加えISOを25600までアップ。しかしそれだけでは超高感度&長秒露光によるノイズ問題が立ちふさがります。

そこで100枚を超える同ポジ静止画を撮影し、ステラナビゲーターでスタック処理することでその問題を解決するというアプローチで挑むわけですね。

このスタイルは平野さんもおっしゃっている通り、コンパクトな赤道儀ではトップヘビーも相まってどうしても歩留まりが低くなりがちな長焦点の光学系も活かせますし、さらに短い露光時間はある程度光害が残る空でも十分楽しめる作品づくりを可能にしてくれます。

またシンプルなシステムは、現場に到着してから撮影をはじめるまでの時間も短く済み、億劫になりがちな遠征撮影へのモチベーションも保ってくれるものです。

ところで平野さんも悩んでいらっしゃる後処理の問題ですが、話題のAMD新型CPU「Ryzen 7」はどんなもんなんでしょうね。IntelのCPUに比べて圧倒的なコストパフォーマンスと高速処理を可能にすると注目されています。

TOASTスタッフも新しいマシンを「Ryzen 」で組んでみようかと思案中です。ただ、昨年からメモリの価格が驚くほど値上がりしている状況もあってまだ様子見の段階ですが・・・。あとはRyzen へのソフトウエアの対応状況も気になる今日このごろです。

平野さん、アンタレス付近の暗部のディテール処理、お見事です!

30秒露光×128枚で総露出1時間オーバー:平野さん

井の頭公園の南側では、早咲きの桜が観光客の目を楽しませているようです。

その周辺では実に多彩な国々からの観光客を見かけますが、彼らの目当ては「三鷹の森ジブリ美術館」。

いつも行列が絶えない人気の観光スポットですが、こんな近くで仕事をしているTOASTスタッフたちは、だれも訪れたことがないという未知の場所です(笑)。

さて、超高感度撮影が可能なSONY α7S。その天体改造モデルをつかい、短時間露光で大量の静止画素材を撮影し、ステラナビゲーターのスタック処理で見事な作品づくりをされている平野さんから近況が届きましたので早速ご紹介しましょう!

 

********** 平野さんのコメント **********

平野と申します。
先週末、撮影に出かけてきました。
場所は前回と同じ山梨県鳴沢村です。
というかいつもここです。

今回は前回の反省を生かしてジンバル雲台に戻しての撮影にしました。
幸い一晩中風もなく、安定して撮影することができました。

3月になりさすがに冬の星座もシーズンが終わるころですが、
前回露出不足で投稿するに至らなかったかもめ星雲を送付します。

[IC2177 Segull Nebula(かもめ星雲)]

カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 128枚
後処理:ステライメージ7でスタック (トリミングなし)
追 尾:TP-2

1時間以上の露出をかけるとだいぶ滑らかになりますね。
もっと広範囲に赤い星雲が広がっているようなのですが、フラット補正がまだできていないため
この程度の処理になりました。
今年中にはフラット補正をきちんとマスターしたいと思っています。

 

[本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星]

カメラ:α7S(天体改造モデル)
光学系:BORG90FL + レデューサーx0.72 + LPS-D1フィルタ
感 度:ISO 25600
露 出:30秒 × 69枚
後処理:ステライメージ7でスタック (720mm相当までトリミング)
追 尾:TP-2

 

こちらは本田・ムルコス・パジュサコバ彗星です。

彗星というと明け方か日没直後にしか撮れないというイメージがあったのですが、ヘンな名前に惹かれて撮ってみました。
初めての彗星撮影の割にはよくできたかなと思っています。

さすがにイオンテイルも短くなっているので、こちらは720mm相当までトリミングをしました。
計35分間の露出を恒星基準でスタックしていますが、地球から離れたこともあり彗星の核の移動は気にならないレベルでした。

 

( カメラ:α6300 / レンズ:Samyang 12mm F2.0 NCS CS(開放) / 感度:ISO4000 / 露出:20秒)

 

この日は一晩中天気に恵まれ、明け方にはさそり座を見ることができました。
こちらは撮影時の様子です。

ちなみにα6300のほうはタイムラプス専用として使っています。

普段は星空タイムラプスですが、次回は星空を追うTP-2を主題にしてタイムラプスを撮ってみようかと思っています。

天体撮影的にはまだまだ寒い時期が続きますが、お体にお気をつけください。

寒さの中での野辺山でのタイムラプス映像がどこかで見られるようでしたらぜひ告知をお願いします。

 

***** TOASTスタッフ *****

焦点距離360mmの超望遠レンズをジンバルフォークユニットでTP-2に搭載、さらにPole Masterを使った極軸合わせにより、歩留まりの良いインターバル撮影(同じ画角での連続撮影)システムを構築されている平野さん。

カメラの設定感度はなんとISO25600です!通常ならノイズまみれのはずが・・・

ここに平野さんがこだわるテクニックが凝縮されています。

手のひらに乗る小さな追尾装置に4キロを超える機材を搭載しての撮影、しかも前後に長い望遠鏡は適切なバランス調整や風による振動の影響なども配慮しなければなりません。もちろん長い焦点距離のレンズでは極軸合わせもかなりシビアになります。

そこでISOを25600まで上げて1枚の露出時間をわずか30秒に切り詰めて撮影することで、1時間を超える連続撮影でも高い歩留まりを維持しながら128カットもの撮影を成功しているのです。

これを1カット2分露出にすれば撮影カット数は1/4で済む計算になりますが、歩留まり率は下がります。

平野さんは、光量不足やノイズなどを後工程のスタック処理でどこまでまかなえるかを事前に判断し、撮影時の歩留まりを出来る限り良くするためISO25600の30秒露光という絶妙な値を導き出しているわけです。

それにしても最後のスナップ写真、TOASTスタッフたちも大喜びでした!

カッコイイ!!!!

 

野辺山で撮影されたタイムラプス映像についてはテレビで放送される予定ですのでオンエアが決まったらここでご案内させていただきますね!

天文雑誌でもこれからタイムラプス作品に注目していくらしいので、ぜひ平野さんも作品づくりにチャレンジしてみてください。

簡易ジンバルシステムで128カットの撮影に挑戦!:平野さん

先週は太平洋側では比較的良い天候が続きましたね。
TOASTスタッフのカメラマンの一人は、長野県にある国立天文台野辺山宇宙電波観測所で夜のタイムラプス撮影に勤しんでいましたが、夜の気温はマイナス13度まで低下し、バッテリー性能がどんどん低下していって大変だったそうです。

極寒の地でのタイムラプス撮影は、カメラバッテリーの保温対策をしていても万全とは行きません。カメラはもちろんカメラワーク用のTP-2やレンズヒーターなど、どれかひとつでもバッテリーが死んでしまうと撮影は途端に失敗となるからです。

それにしても冬の野辺山は本当に寒いところですよ。スナップ写真を見せてもらいましたが、撮影機材はアラスカでのロケ並に真っ白く凍り付いていました・・・。

さて、前回に引き続きTP-2ユーザーの平野さんから作品を投稿頂きましたので、早速ご紹介しましょう!

 

********** 平野さんのコメント **********

平野と申します。
先月の新月期も撮影に出かけてきました。

TP-2とBORG

今回はより可動域を広げるべく、水平部と垂直部ともより長いアルカスイスのレールに変更してみました。

狙い通り北側の死角は減ったのですが、やはりレールを長くすると途端に風に弱くなりますね。

特にこの日は風が強かったため、歩留まりが悪化してしまいました。

 

バラ星雲 (TP-2)
【 バラ星雲 】

カメラ:α7S(天体改造)
光学系:BORG 90FL + レデューサー 360mm F4
フィルター:LPS-D1
感度 :ISO25600
露出 :30秒 ×64枚(ステライメージ7でスタックおよび各種処理)
追尾 :TP-2
撮影地:山梨県鳴沢村
撮影日:1月27日

馬頭星雲(TP-2)
【馬頭星雲】

カメラ:α7S(天体改造)
光学系:BORG 90FL + レデューサー 360mm F4
フィルター:LPS-D1
感度 :ISO25600
露出 :30秒 ×64枚(ステライメージ7でスタックおよび各種処理)
追尾 :TP-2
撮影地:山梨県鳴沢村
撮影日:1月27日

 

今回は128枚でのスタックを目指して1時間以上時間をかけたのですが、半分近くのカットが風に流されてしまい結局前回同様64枚での画像処理となってしまいました。

この構成でバランス自体はとれているのですが、南天の対象を狙うときは無理せず前回の構成のようにジンバル雲台を使って重心を下げるほうがよさそうです。

 

***** TOASTスタッフ *****

平野さん、前回に続き素晴らしい作品をご投稿いただきありがとうございます!

今回は合計30分を超える露出時間で星雲の細部まで表現されています。

ジンバルフォークユニットではなくバーティカルレールクランプとロングレールプレートを組み合わせ簡易的なジンバル雲台システムを構築されています。

海外ロケの仕事が多いTOASTスタッフの一人も同様のシステムを必ず機材の中に忍ばせていますが、アルカスイス準拠のロングプレートは薄い板状のパーツですので、周囲の振動や風の影響をもろに受けてしまいます。

海外遠征など持っていく荷物を減らさなければならないときには、簡易的なジンバルシステムとして大活躍しますが、長さの短い中望遠レンズで使用するのがオススメです。

特に前後に長い望遠鏡は、一度振動を受けてしまうと揺れが収まるまでかなりの時間を要しますので要注意でしょう。

平野さんの機材と撮影スタイルであれば、ジンバルフォークユニットによるシステムを強くオススメします。

それにしてもα7Sの天体改造版、なかなか良いですね~!
一眼レフに比べて圧倒的に軽量化できますし、それでいてフルサイズ機。

次はどの天体を狙うんでしょうか?

TOASTスタッフ一同楽しみです!

TP-2の限界はどこか検証中!:佐藤信敏さん

ようやく晴れの日が続いても、夜空には明るく輝く月が・・・。

天体写真を撮影するには「月齢」、「天候」、そして「休暇」の3拍子がそろわないとシャッターを切ることが叶わないという、なんとも条件の厳しいジャンルですが、みなさんの勝率はいかがですか?

さて、TP-2ユーザーの佐藤信敏さんから作品を投稿いただきましたので早速ご紹介しましょう!

佐藤さんは、「TP-2の限界はどこか検証中!」と題して、富士フィルムのレンズ交換式カメラ 「Fuji X-E2」にニコンの大口径レンズ「AF-S NIKKOR 300mm f/2.8」を組み合わせた撮影システムで冬の星雲星団をシューティングです!

 

********** 佐藤信敏さんのコメント **********

「TOAST(TP-2)の限界はどこか検証中です。バランスと風に注意すれば300mm F2.8でも問題なく撮影出来ることがわかりました。」

 

M42 オリオン星雲
カメラ:Fuji X-E2
レンズ:AF-S NIKKOR 300mm f/2.8
感度:ISO3200、露出:30sec
撮影数:70cuts ※DSSにてスタック
撮影地:富士山4合目
追尾架台:TP-2 (TOAST TECHNOLOGY)

 

M45 プレアデス星団
カメラ:Fuji X-E2
レンズ:AF-S NIKKOR 300mm f/2.8
感度:ISO3200、露出:30sec
撮影数:140cuts ※DSSにてスタック
撮影地:富士山4合目
追尾架台:TP-2 (TOAST TECHNOLOGY)

 

馬頭星雲
カメラ:Fuji X-E2
レンズ:AF-S NIKKOR 300mm f/2.8
感度:ISO3200、露出:30sec
撮影数:90cuts ※DSSにてスタック
撮影地:富士山4合目
追尾架台:TP-2 (TOAST TECHNOLOGY)

 

***** TOASTスタッフ *****

注目していただきたいのはカメラの感度、露出時間、そして撮影枚数です。

佐藤さんはモバイル赤道儀と大口径レンズを使った撮影に精通していらっしゃる方だとお察しいたします。

というのも、 撮影場所は富士山4合目付近ということで条件的には悪くは無いのですが、南の空は御殿場の街明かりの影響があり、レンズ開放値で長時間の露出だと画像がすぐにカブってしまいます。そして手のひらサイズのコンパクトな赤道儀に重く大きな大口径レンズを搭載した場合、極端なトップヘビー荷重状態になるためちょっとした地面の振動や風の影響も受けやすくなり、そのぶん歩留まりに影響してきます。

そこで佐藤さんは、感度を思い切ってISO3200まで上げることで、露出時間をわずか30秒まで切り詰めています。当然このままだと露出はアンダー。暗い星はもちろん淡いベールのように広がる星雲のディテールは全く写りませんが、全く同じ条件でインターバル撮影を繰り返し、ひとつの被写体につき70から140カットという膨大な画像を撮影。それを「DeepSkyStacker」というソフトウエアを使ってスタック処理し1枚の作品として仕上げています。

数十枚の画像をスタック(重ねあわせ)処理することで、ISO3200の高感度撮影にもかかわらずノイズが目立たなくなり、御殿場の夜景の影響によるカブりを避けつつも暗い星や淡い星雲のディテールを浮かび上がらせることに成功しているというわけです。

300mm f2.8の大口径レンズで長時間露光を成功させるには、三脚の選定をはじめとする剛性面に配慮した周辺機器と組み合わせることはもちろん、バックラッシュの影響も考慮したうえで無振動でシャッターを切ることが必要になります。

しかし、少しでも風が吹けば速攻でNG。

なかなか歩留まりがあがりません。

佐藤さんの方法は、歩留まり向上の面で非常に理にかなっている方法のひとつで、貴重な遠征地での撮影で無駄なショットを重ねずにに済みます。

 

ところでTP-2は、極軸の真上から垂直に荷重をかけた場合、つまりTP-2がテーブルの上で水平になるように置いた状態で雲台取り付けステージ上に10kgのウエイトを置いても稼働するトルクを有しています。

つまり、機材をTP-2に搭載する際に、前後左右のバランスがきちんととれた状態にセッティングしてやれば、意外なほど大物にも対応できるのです。

大口径レンズを使う場合には、ベストなバランス状態を実現できる「ジンバルフォークユニット」を併用することをオススメします。

バランスが適正であれば、クランプをしめなくても、どの方向にレンズを向けてもピタッと機材が止まってくれますから、焦点距離が長いレンズでのフレーミングも相当楽になるのです。

 

さて、余談が過ぎましたが、大きく重い撮影機材は、大きく重い赤道儀と三脚をつかえば実に楽に撮影ができ歩留まりも向上します。これは間違いありません。

でも重く大きな機材を車に積んで現地で組立てるのはなかなか大変なことです。

TP-2のような小型・軽量のモバイル赤道儀で様々な撮影に対応するには、使い方にちょっとした配慮や工夫が必要になります。

どちらも結果(作品)は大きく変わらないとしたら、あなたはどこで手を抜き、どこに手をかけますか?

その点において、佐藤さんはモバイル赤道儀のメリットとデメリットを熟知されたうえで、ご自身の右腕として使いこなしていらっしゃるように思います。

撮影時には歩留まりを考慮して短時間露出を数十回から数百回繰り返す(インターバルタイマー撮影)、そして自宅でのパソコン処理でスタックしてじっくりと作品に仕上げていくというスタイル。

みなさんんも是非チャレンジしてみてはいかがですか?

BORG FL71でラブジョイ彗星を狙う!:マーブルさん

巷では明るくなったラブジョイ彗星が話題になっていますよね。

「テストのつもりで持ち出したBorgFL71。無理を承知でToastProに載せてラブジョイ彗星にチャレンジしてみました。テストのつもりだったが、まずまずの結果になりました。」

という投稿をくださったのは、ユーザーのマーブルさんです!

 

********** MB氏のコメント **********

一年で最も寒い時期。新月で晴れ間が期待できたとしても、家に閉じこもっていたいもの。「ラブジョイ彗星がよく写る」との仲間からの情報で、重たい腰をあげた。この時期に機材を出すのは、四半世紀ぶりかも。

単身赴任中でマイカーはなし。仕事に追われ準備はいつも不十分。ToastProと三脚、レンズ、防寒具を詰め込んだコンテナ2箱を前日夕方に宅急便に託し、知人宅に送りつけた。
カメラはEOS 6Dの(非改造)とEOS Kiss X5(赤外カットフィルター除去)の2台。6Dとシグマの150ミリのカップリング。昨秋の撮影では、ISO6400、1分露出でコンスタントに撮影できていた。

すばるとラブジョイ彗星を合わせて収めるのにちょうどよい焦点距離では、とにらんだ。

KissX5は予備機のつもりでカメラバッグへ忍ばせた。もともと、このカメラのパートナーはBorg FL71。架台はP-2Zだが、今回は準備時間が足りずあきらめるつもりだった。「Toast ProとFL71では、鏡筒が重すぎて成功確率が落ちるからやめたほうがよいよ」とその道のベテランから言われていたことも頭の隅にはあった。

だが、デジタル一眼の高感度化が進み、一晩に何コマも撮影できる。明け方のテスト撮影で遊ぶくらいなら、とふと思ってカメラバックにレンズ、鏡筒、接眼部を分解したFL71を押し込んで、電車に飛び乗り出発。東京郊外の知人と合流した。

 

観測場所は富士山西側の朝霧高原。東側は東京の明かりがまぶしいくらい。南側は富士宮方向の光害なのだそうだ。同行の氏によると空の状態はイマイチ。時折、動きの速い雲も往来している。

到着は午後6時。外は氷点下になりつつあるが、かじかむ手で機材を組み上げ、午後7時から撮影開始。

ラブジョイ彗星

シグマ150ミリは、最初の30コマでほぼすべてのコマが使えそうな感じ。すばると彗星のバランスもいい感じ。記念写真としては上出来などと悦にいる。

これなら、テストを先にやってしまえと、FL71を据え付ける。ベンロのジンバル雲台を介していたが、カメラと架台があたってしまい、南中を超えて高い位置にいる彗星に筒先が向かない。同行のベテランから、自由雲台を拝借。バランスは悪いがなんとか対象を捉えることができた。

ISO3200と6400で1分露出を数コマ撮影。対象が天頂近くにあったが、KissX5のバリアングル液晶画面のおかげで、ピント合わせと構図確認はあまり苦労せずに済ませることができた。ここからは「下手な鉄砲、数撃ちゃなんとか・・・」とつぶやきながら40コマの連続撮影へ。あとは機械にお任せで、寒さに耐えかねて車の中へ。そのまま1時間ほど寝入ってしまった。

風の音で目が覚め、あわてて外へ。さっそく液晶画面に目を凝らす。エメラルドグリーンに写ったコマがなんともきれい。白糸を引くような尾は幽玄さをたたえている。風のせいもあっただろうか。40コマのうち、半分はガイドが流れていたが、20コマはなんとか使えそうな写真になった。

良像範囲がやや狭いこの筒。しかし中心像は良好のようだ。野鳥撮影の世界では、この筒とフォーサーズカメラで楽しんでいる方が多いと聞く。当方もそういった活用の仕方を探ってみよう。

結局、画像へと仕上げたのは各焦点距離で数コマずつ。雲の往来の影響は案外大きいと実感。

ラブジョイ彗星

6D+シグマ150はISO3200で、2分のもの8コマ合成。

 

ラブジョイ彗星
X5+BorgFL71はISO3200で、1分のもの14コマ合成。
画像処理は苦手なこと、付け加えておく。

 

彗星を相手の直焦点撮影など、ひょっとすると高校生の時以来(?)。まあ、仕事のうさを晴らす、ローアマチュアの一晩限りの息抜き撮影としては上出来な観測結果でした。

 

***** TOASTスタッフ *****

ジンバルフォークユニットを使えば、搭載バランスを適切に調整できるので、重量機材でもかなりイケます。

今回使用された大型の自由雲台は、アメリカのRRS社製とのこと、RRSの製品は、まさにプロ御用達と言われるほど高い性能と使い勝手の良さで知られています。

自由雲台では東西方向のバランス調整が難しい場合がありますが、できるだけ真上から荷重がかかるような位置で光学系をセットし、なおかつ前後方向のバランスを長めのプレートなどを利用してうまく調整してあげれば意外とうまくいくようです。

ところで2月12日から15日にパシフィコ横浜で開催されるCP+2015に今年もTOAST TECHNOLOGYのブースが出展されます。

ぜひお立ち寄りいただければ幸いです。詳しくはいずれまた・・・。