TP-2は玉手箱:佐藤信敏さん

 

TP-2に、富士フィルムのレンズ交換式カメラ 「Fuji X-E2」にニコンの大口径レンズ「AF-S NIKKOR 300mm f/2.8」を組み合わせたシステムでスタック処理による素晴らしい星雲の作品をものにされている佐藤さんですが、また違ったアプローチによる天体自動追尾撮影にチャレンジされているようですよ。

 

********** 佐藤信敏さんのコメント **********

この度はブログに取り上げていただきありがとうございました。

もうひとつTP-2の高性能がわかる写真を3点お送りします。

TP-2で星を撮られている方は多く見かけますが、月とか惑星の作例はあまり見かけません。軽量な機材を乗せればTP-2でも十分満足できる写真が撮れます。
これらはプロミナ500ミリF5.6というフォトビジュアル望遠レンズに、Nikon 1 J5と2倍のニコンのテレコンバーターをつけて撮影しています。
惑星の撮影では微細な振動でも画質が悪化するので電子シャッター搭載の軽量なNikon 1 J5というカメラを選んでいます。
連写モードを使い月で70枚、土星で80枚の写真をスタックして作っています。そうすることで大型赤道儀に望遠鏡をつけたセットに迫る写真を得ることが出来ました。
TP-2は使い方次第でどんどん天体写真の世界が開けてくる赤い玉手箱みたいですね。

 

月面 TP-2

 

月面 TP-2
カメラ:Nikon 1 J5
レンズ:PROMINAR 500mm F5.6 FL + 2倍テレコンバーター

感度:ISO160
露出:1/60~1/00秒
撮影数:70~80cuts
画像処理:RegiStaxにてスタック、ステライメージにてウエーブレット処理、PhotoShopにてトーン調節

追尾架台:TP-2 (TOAST TECHNOLOGY)

 

土星 TP-2
カメラ:Nikon 1 J5
レンズ:PROMINAR 500mm F5.6 FL + 2倍テレコンバーター

感度:ISO400
露出:1/8秒
撮影数:120cuts
画像処理:120カットのうち良像80カットをRegiStaxにてスタック処理、ステライメージにてウエーブレット処理、PhotoShopにてトーン調節

追尾架台:TP-2 (TOAST TECHNOLOGY)

 

***** TOASTスタッフ *****

RegiStaxをつかって80枚前後という膨大なカットをスタック処理するこで、解像感とSNが大幅に向上しています。

全ての天体写真がフルサイズセンサー搭載のデジタル一眼レフカメラで撮影しなければならない理由などなく、状況にあわせた最適な組み合わせで最高のパフォーマンスを得る知識の方が重要です。

TP-2は手のひらに乗るほど小さな赤道儀です。そこに1000mmを超える超望遠レンズを組み合わせればシステム全体が極端なトップヘビーな状態になります。

そこで佐藤さんは、重く大きなデジタル一眼レフカメラではなく、軽量なミラーレス一眼を採用します。

Nikon 1 J5は、13.2×8.8mmサイズCMOSセンサーを搭載したミラーレス一眼で、焦点距離は35mm判換算でレンズの焦点距離の約2.7倍相当の長焦点になり、望遠撮影には持って来いです。

さらにトップヘビーなシステムでは、シャッターを切る僅かな振動さえシステム全体の揺れに大きな影響を及ぼします。ミラーレス一眼は電子シャッター式なので、撮影時にミラーの上下駆動がなく無振動。頭でっかちな撮影システムのデメリットをうまくキャンセルする最適な選択です。

シャッター以外にも振動の要因は様々。風はもちろん、近くを車が通過するような場所ではその振動が大きなブレとなって画像に影響します。そして月面撮影では大気の気流の影響も懸念材料です。

 

さて、みんさんの中には、見慣れたごく普通の月面作品にも感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品の仕上げからは作者の高い絵的センスをうかがい知ることができます。

こうした作品ではついついコントラストを高めに調整してしまいがちなのですが、佐藤さんは絶妙なバランスで全体像を作り上げています。SNを最大限生かした非常になめらかな絵作りは、誰もが簡単にできるものではなく、まさに絵作りのセンスがモノを言う世界。

最終的にどういった作品(表現)にしたいか、あらかじめ頭のなかにイメージを描けてこそ、そのイメージを作るための最適な機材チョイスや画像処理を行うことができるものだと、TOASTスタッフは思う次第です。

今宵は、佐藤さんの月面作品をモニターに映し出しながら、ちょいと一杯ひっかけよっかな。

見ていて飽きませんもん!!!!!!